2005年07月12日
ところで、なんで僕はさわかみファンドを買わないのか
昨日のエントリで、さわかみファンドがついにメガファンドになってメデタイ。という話を書きました。僕はさわかみファンドには注目しているし、応援してもいるのですが、実はさわかみファンドの受益者ではありません。買えばいいのに。なんで買わないのか?
理由は2つ。1つ目は、僕が老後を迎える前に、たぶん澤上氏はリタイアされてしまうからです。澤上氏は1947年生まれ、現在58歳のはずです。僕はいま39歳ですから、僕が65歳でリタイアする26年後に、澤上氏は84歳です。果たして現役のファンドマネージャでいられるでしょうか。
たぶん無理でしょう。いま日本の男性の平均寿命はたしか78歳。
もちろん、会社としての「さわかみ投信」はきっと存続していると思います。しかし、その頃の「さわかみファンド」が、澤上氏と同等の手腕を持つファンドマネージャに引き継がれているかどうかは今のところ分かりません。
現在、「さわかみファンド」は澤上氏個人の手腕で運用されているように見えます(もちろん、その裏方として運用チームがいることでしょうけれど)。僕が保有している途中で不幸にも澤上氏がリタイヤしたら……、運良く大金に成長してくれた僕のお金をそのまま安心して預けていられるでしょうか。ちょっと自信がありません。
(だから、さわかみ投信の次のマーケティング戦略をアドバイスするとすれば、個人看板から組織のブランドへといかに切り替えるか、ではないでしょうか。そのためには「メガファンド」というイメージは悪くないですよね。)
てなわけで、僕は結局、国内株の運用については、組織として調査力や運用力を備えている(ように見える)フィデリティの投資信託「フィデリティ・日本成長株・ファンド」を選んだと、そういうわけです。
もう1つ理由があって、以前からフィデリティに口座があったんですね。また管理する口座が増えるより、フィデリティの投資信託も評判がいいので、こっちにしてみようと思ったのです。
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pon! (2005/07/16 2:36:03)
さわかみファンドを定年まで持ち続けることは私も悲観的ではあります。
ただ、私は今のところ、さわかみファンドをインデックスファンドの変形と捉えて積立を行っています。
というのもさわかみファンドは300以上の銘柄で構成されているため、実質的にはほとんどインデックスファンドと同じ動きをしている
ことが確認できるところにあります。
日経225系、TOPIX系のインデックスファンドよりも信託報酬は高い点は、気になる点ではありますが、自分の認識に近い投資であることを考えれば、それを補ってあまるだけのメリットはあるとかんがえていますから・・・・
(金融系への投資が少ない点は私にとってすごく共感できる点、所詮、日本はものづくりの国ですから・・・)
したがって、個人的な現時点の戦略としては、24万円以上になった段階で12万円解約し、より信託報酬の安いETFへ移管していく方向で考えています。
ただ、さわかみファンドの方針にブレがあると判断した時点で他のインデクッスファンドに全額移すことだけは、いつも心にとめています。
ファンドの海管理人 (2005/07/19 21:50:57)
pon!さん、コメントありがとうございます。さわかみファンドみたいに長期投資型の投資信託というのは、その運用方針が変わらなければインデックス型の変形のように考えられる、というのは貴重な意見だと思います。
アルビレオ (2005/07/20 6:03:05)
いくらなんでもそういう言い方を聞いたら運用担当者は落ち込みますよ…
というかアクティブファンドの存在価値はなくなっちゃいます。
店頭株限定のファンドとかならともかく、国内大型株を組み入れるとTOPIXとの相関は避けようがありません。
だから上げ下げのタイミングだけを見れば同じように見えてしまいます。
(そして長期運用を考えればある程度大型株の比率が高い方が安定性の面で好ましい)
そこで組み入れ比率を工夫して「上がるときは大きく、下がるときは小さく」なるようにするのが腕の見せ所なんです。
そのための戦略が「バリュー」「グロース」と呼ばれているものなわけでして。
どっちの戦略にしても、基本的に上げ下げ自体は市場に連動します。違いは「値動きの幅」に出るのです。
市場が下り坂のときもプラスの値動きをするようなのはヘッジファンドか、よほど極端なポートフォリオを組んでいない限りありえませんよ。
pon! (2005/07/20 17:06:55)
アルビレオさんへ
>いくらなんでもそういう言い方を聞いたら運用担当者は落ち込みますよ…
運用担当者を精神的に満足させるために投資するのだというのであれば、
それでもいいですが、アクティブ運用のほとんどがパッシブ運用に勝て
ないという事実から目を背けずに、そして、投資に対する姿勢や状況を
シビアに判断することは、大事だと私は考えます。
私はアクティブファンドを否定しているわけではありません。ファンドも使い方だと思っています。たとえば、
ロング&ショートのファンド(個人の資金力では出来ない投資方法)
小型株をリサーチを十分に行うファンド(個人では通常よりも手間がかかる対象物への投資)
といったファンドは積極的に利用したいものと思っています。
>長期運用を考えればある程度大型株の比率が高い方が安定性の面で好ましい
そのような考え方が多かったことからこそ、アメリカのニフティ・ニフティ株の
過剰投資とその後の暴落が発生したことは、常に念頭においておくべき
と私は考えます。
>市場が下り坂のときもプラスの値動きをするようなのはヘッジファンドか、
>よほど極端なポートフォリオを組んでいない限りありえませんよ。
ロング&ショートの運用を目指すファンドは、利益を上げる可能性がありますよ!
アルビレオ (2005/07/21 4:29:02)
>ロング&ショートの運用を目指すファンドは、利益を上げる可能性がありますよ!
ええと、だからそれはヘッジファンドの典型的な戦略のひとつですよね?
そういう手法を使わないとありえないと書いているんです。
私はアクティブファンドがよいものかどうかという話をしているつもりはありません。
ただ、大型株も投資対象に含む一般的なバイ&ホールドのファンドでは上げ下げはだいたいインデックスと似たようなものになるけど、そこだけを見て「ほとんどインデックスファンドと同じ」というのはちょっと語弊があるんじゃないかなぁと言いたかっただけなんですが。
pon! (2005/07/22 3:05:28)
>大型株も投資対象に含む一般的なバイ&ホールドのファンドでは
>上げ下げはだいたいインデックスと似たようなものになるけど、そこだけを見て「ほとんどインデックスファンドと同じ」
>というのはちょっと語弊があるんじゃないかなぁと言いたかった
ん~、それだけでさわかみファンドがインデックスの変形だというわけではないんですが・・・・
さわかみファンドには
1、基本的にバイ&ホールドで売り買いが少ない
2、銘柄構成が、景気循環株が多い
これらの特徴を備えているから日本株のインデックスの変形だといっているんです。
実際に日本株のインデックスファンドの特徴は
1、時価総額の関係で、景気循環株の影響を受けやすい
2、インデックスファンドは、基本的に銘柄の入れ替え等がない限り基本的にバイ&ホールド
といった感じと思います。
そう考えればさわかみファンドがインデックスファンドの特徴を備えているという
考えもなりたつといっているわけです。
さわかみファンドの構成の銘柄分布が、景気循環株の中心ではなく、
長い期間高収益が望める株(バフェット好みの株)で構成されていたり、市場がこれから伸びるであろうと考える株(リンチ好みの株)で構成されていたりするのであれば、アクティブファンドとしての評価もだせます。
インデックスファンドの動きとほぼ同じと言及したのは、結果的にみてもという意味でかかせていただきました。
さわかみファンドとTOPIXファンドの動きをみるとここ3ヶ月で比べると、タイミングだけじゃなく、上下振れの%もほぼ同じですよ。
(付け加えるなら、少なくとも2003年5月~2004年4月頃も上下のタイミングだけじゃなく上下振れの%も同じだと思います)
>そういう手法を使わないとありえない
たしかにヘッジファンドが活用する代表的な運用手法のひとつとして、ロング&ショート戦略があるのは事実ですから、ロング&ショートファンドはヘッジファンドだというあなたの理屈はわかりますが、私は同意しかねます。
ロング&ショートの基本は「安いなら買うが、高すぎるなら売る」
ヘッジの基本は「市場変動に対する影響を最小限にする」と考えます。
そう考える私にとって、まったく違う概念の考え方と捉えています。
ヘッジの意味は、
「 株式・債券・商品・外国為替などの取引で、価格の騰落による損失や不利を避けるため、信用取引や先物取引で売買を行っておくこと」
とあります。
つまり、ニュートラルなポジションを保つために裁定取引としてロング&ショート戦略をとることで絶対リターンを高めるのならば、ヘッジファンドかもしれません。
しかし、虚構の高い成長率の上でなりたっている買いあがっていると判断できる株に平然とショートの立場がとれ、不当に低い成長率で売りたたかれている株に平然とロングの立場がとれるロング&ショートファンドがあれば、
それはヘッジファンドではなく、きわめてファンダメンタルな立場での投資手法だと考えます。
ちがう角度からも見てみましょう。
株式ファンド=株を買うファンドという固定概念にしばられていませんか?
澤上氏は著書の中では、
「株は高くなりすぎたら、すべて現金化する場合もあり、他の投資対象(債権等)を選ぶ場合もある」
という趣旨を述べています。
この方法は株式が下げ相場のときは、違う投資対象でリターンを得ようとしていますが、
あなたは、彼の運用方法が特殊とおもいますか?
もし、特殊だと思うのであれば、ロング&ショートも特殊でしょう。
そうでないのであれば、ロング&ショートは普通の投資手法でしょう。
あなたはどちらですか?
もうひとつ違う角度で見てみましょう。
TOPIXの下げ局面だった1996年~1998年は、大型株の中には、指数と違う動きをするものも
あったと記憶しています。
大型株中心のポートフォリオでも、指数と連動しない株はあるものです。
(花王、信越化学、味の素といったあたりは、むしろ高くなったような記憶がありますが・・)
そのような選定眼をもったファンドが当時あったかどうかに関しては、わかりませんがね。
いずれにしても、はじめからありえないと決め付けるのはいかがなもんなんでしょう?
アルビレオ (2005/07/22 7:59:16)
pon!さん、ありがとうございます。勉強になりました。
特にさわかみがインデックスに連動するあたりが。
んでもちょっと疑問に思ったのが、すでに保有している現物株を手放すことも「ショート戦略」のうちに入るんでしょうか?
ショートというと売りから入るためにオプションや先物といった派生商品に投資すると思っていたのですが。でも信用売りなら立派な株式取引?
このあたり、どう切り分ければいいのかよくわかりません。
>株式ファンド=株を買うファンドという固定概念にしばられていませんか?
逆にある程度しばられないと、目論見書に書かれた運用方針を守っていないことになってまずいのではないでしょうか?
さわかみファンドの目論見書にも
・国内外の株式等を主要投資対象とする
・変動リスクを回避するため、先物取引やスワップ取引を行うことができる
などと書かれているし、このあたりはたいていの株式ファンドで同じようなことが書かれてますよね。
現物株取引以外の投資はリスクヘッジや緊急避難的なものに限られると。
もちろん積極的にオプションや先物へも投資するファンドもありますけど、今のところはマイナーな存在みたいだし。
(だからといってそれを無視して「ありえない」と書いたのはまずかった)
そんなわけで積極的にショート戦略で利益を得ようとするものは株式ファンドのうちにはいるのかな?と考えてたわけです。
そういうのは分類上は株式ファンドでも「ヘッジファンドに近い運用方法を取る特殊なファンド(オルタナティブ型に近い)」というのは私の勝手な思い込みなのかなぁ。
>大型株の中には、指数と違う動きをするものもあったと記憶しています。
>そのような選定眼をもったファンドが当時あったかどうかに関しては、わかりませんがね。
仮に目をつけていたとしても、さすがにそういうのばかり選択している神の目を持ったファンドは考えにくいですから、たぶん他の銘柄による下げを軽減するぐらいしかできなかったんじゃないでしょうか。
投信は単一銘柄の組み入れ比率に上限があったりと分散投資を原則にしてますから、結局トータルではインデックスに似たような動きになってしまうので「大型株の中に指数に連動していないものもあった」というだけでは反証としては不十分だと私は考えてます。
だいたいTOPIXは東証一部の全銘柄を対象にしているのだからそういう市場全体とは違う値動きをしたものも含んだ上での数字、つまり東証一部の株を持っている限りはTOPIXと相関を持たないということは数学的にありえません(笑)
↑ここは詭弁に近い極論というか冗談半分なので本気で反論しないでね。
pon! (2005/07/25 23:19:13)
「リバースファンド」の話をしているような気がします。ちがったらごめんなさい。
あくまでショートする場合もあるってのが、ロング&ショートじゃないでしょうか?
積極的に売りって書きましたが、あくまでそうする場合もあるってことで、常に
売りから入るわけじゃないですし・・・
ちなみにさわかみファンドの
・国内外の株式等を主要投資対象とする
とあるのは、絵に描いた餅じゃないかもしれませよ。
澤上氏は中国の企業の状況をしらべるために、中国にリサーチにもいっていた
みたいだし・・・(ま、ポーズだけって場合もありますが)
>投信は単一銘柄の組み入れ比率に上限があったりと分散投資を原則にしてますから、
>結局トータルではインデックスに似たような動きになってしまう。
おしゃりたいことは十分に理解しました。
たしかに上げ下げのタイミングでの連動をもってインデックスと同じかなといったのは
いいすぎなのかも知れませんね。
しかし、私にはさわかみファンド=質のいいインデックスファンドという感覚でしか
みることはできませんね。
ファンドの海管理人 (2005/07/26 2:17:44)
アルビレオさん、pon!さん。ファンドの海管理人です。複雑な議論なのに非常に内容があり、かつ冷静にしていただいて感謝です。
さわかみファンドが中国など海外に投資を始めたら、なんか面白くなってきそうですね。(ホルダーじゃないので無責任なことを言ってますが:-)
アルビレオ (2005/07/29 23:36:50)
そういや私も最近気づいたんですが、さわかみファンドの今のファンドマネージャは澤上篤人氏ではなく、息子の澤上龍氏ですよ。
若い!
http://blog.radionikkei.jp/trend/index.php?ID=84
青三 ブルー・スリー (2005/08/11 18:22:51)
>>僕が65歳でリタイアする26年後に、澤上氏は84歳です。果たして現役のファンドマネージャでいられるでしょうか。たぶん無理でしょう。いま日本の男性の平均寿命はたしか87歳。
議論はすごく納得できました。
が、87歳 → 78歳のミスタイプでは。
ファンドの海管理人 (2005/08/12 23:43:26)
青三 ブルー・スリーさん、ご指摘ありがとうございます。タイプミスです。でも、87歳まで生きたいですね。
空色 (2006/10/05 1:53:17)
過去に何度かコメントさせていただいた空色です。
私たちが定年を迎える前に澤上氏が引退してしまうだろうというのは仰るとおりですね。現在は息子さんがファンドマネージャーのようですが、親父さんほど顔は見えないし・・
ところで私は、ちょっと違った観点から、さわかみファンドへの投資を見送りました。そんな記事を書いたので、お時間のある時に御覧いただけると嬉しいです。
田島ハル (2007/03/14 21:50:49)
はじめまして。
わたしは、面白がってさわかみフォルダーになっていますが、この記事「ところで、なんで僕はさわかみファンドを買わないのか」は、タイトルが秀逸ですね。
わたしは、「なんで私はさわかみファンドを買っているのだろうか」と思うことがたまにあります。中国株投信のパフォーマンスとは比べ物になりませんのに、買ってます。
ファンドの海管理人 (2007/03/16 1:35:39)
田島さん、はじめまして。投資信託を保有している理由って、人によりさまざまですよね。 僕は、さわかみファンドは個人的には応援しているのに保有していないのです、そのことを素直にタイトルにしてみたのですが、褒めていただいて嬉しいです:-)
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