2006年04月 9日

一部業務停止命令で、さわかみ投信に何が起きたか?(1)

3月30日に1カ月間の一部業務停止命令を受けたさわかみ投信。その後、この命令によってさわかみ投信はどうなったのでしょうか。

さわかみ投信のホームページには、さわかみ投信株式会社 代表取締役 澤上篤人氏が「さわかみファンドを保有される皆様へ」という題名で文書が掲載されました。この中で澤上篤人氏は、自分が投資顧問業法の内容を間違って解釈していたこと、社内の人材不足で社内の管理体制が不十分だったこと、を原因としてあげています。

同文書から抜粋します。

このような不名誉きわまりない事態を招いたのは、そもそも私自身の認識不足による法解釈のズレから生じたものです。 (略) もうひとつの問題点は、そのような社長の暴走に即刻ブレーキをかけるべく、内部検査を含め社内の管理体制を十分に整備していなかったことです。

その上で、「責任の所在は明確です。私が経営の前線から身を引くべきでしょう。」と、自身の進退に触れていますが、「ただ、もうすこしやっておきたいことがあり、引退の日は数年先にと考えております。」として、直後に否定しています。

社長自らがメッセージを発したことはよいことだと思います。受益者もこのことを待っていたでしょう。そのことは、さわかみ投信らしいな、と評価します。

でも、僕はこの文書を読んで、まだ澤上氏自身に認識の甘さが残っているように感じました。

まず、「すいません」や「申し訳ありません」というお詫びの言葉がありません。僕は感情的に「謝れ」と思っているのではなく、そういう言葉のテクニックを使わないことに甘さを感じるのです。

広報的な観点から見て、不祥事を起こしたときには真っ先にまずトップが頭を下げる姿勢を見せることは、危機管理の基本テクニックだと僕は思います。雪印や東横ホテルなど、これまで多くの企業が不祥事を起こしたときのトップの対応の悪さを指摘されてきています。

もちろん、受益者に向けた報告書などでは澤上氏もきちんと謝っている表現を使っているのかもしれないので、この文書だけで決めつけるのは酷な面もあります。ただ、いまやネットは最も社会に開かれたメディアの1つです。そこに掲載する文書で、不祥事に対応するテクニックが表現できていない、という点は見逃せません。

そのテクニックがないおかげで、「顧客には迷惑をかけていない」「赤字経営だったので人材不足だった」「引退は数年先に」という説明がむなしく読めてしまうのです。

さわかみ投信は、投資信託業界でも注目の企業です。認識の甘い部分はぜひ直していただきたい。

もう1つ。いま多くの企業が法令遵守(コンプライアンス)のために多大な努力をしています。それは株主のためであり(コンプライアンスの強化はエンロンの破綻がきっかけ)、株主は企業のコンプライアンスを強く要求する立場にあります。

その株主自身のコンプライアンスに甘さがあるとき、投資先企業にコンプライアンスの厳しい目を向けられるでしょうか? 株主自身も厳しいコンプライアンスが求められてこそ、健全な株主と企業の関係が成り立つはずです。

さわかみ投信は人のお金を運用しているとはいえ、国内でも有数の大きな金額を運用し、多数の企業の株主となってる企業です。自らのコンプライアンスにも厳しくあるべきだ、と、僕は言い切ります。

だから僕は、さわかみ投信が危機管理のテクニックも身に付けて、高い認識を持つ、成熟した会社になってくれるように願っています。

多くの受益者も継続して、さわかみ投信を応援し続けているようです。次回はそのことについて。

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ファンになったよ、さわかみさん。 [ちょいメモから]

アルビレオ (2006/04/11 2:12:50)

お詫びの言葉としては3月30日付けの文書があるので、4月3日の方は具体的な説明が中心ですね。
同じ言葉を何度も繰り返すよりも違反内容を具体的に公開したことを評価したいです。

>さわかみ投信が危機管理のテクニックも身に付けて、
>高い認識を持つ、成熟した会社になってくれるように願っています。

・違反があったのはまだ会社の規模が小さく、多くが社長の裁量で動いていた時期のこと
・現在は投資助言業務を行っていない
ということからして多少的外れな言及のような気がします。
社内体制の見直しなどに特に触れていないのも、現在の体制や業務内容ではそのようなことは起こらないと判断しているからでしょう。
その判断が正しいのかどうかはわかりかねますが。

ただ、引退のくだりは以前から考えていたことを表明しただけ、あるいは多少前倒しにしたような印象で、これで責任を取るといえるのかどうかはちょっと腑に落ちないところがあります。

ファンドの海管理人 (2006/04/13 0:02:17)

僕としては、問題が起きた当時の小さかったころの危機管理を指摘しているのではなく、それが表面化した現在においての危機管理が成熟していないなあ、違反を指摘されたというのにあまり自覚したような対応ではないなあ(=いまもコンプライアンス意識が薄いのではないか)ということを書いたつもりなので、その辺を読み取ってくれればと思います。

アルビレオ (2006/04/13 19:58:57)

「お詫びの言葉」に関しては3月30日付けの文書で
>真っ先にまずトップが頭を下げる姿勢を見せる
を実行しているのに、そこを無視して4月3日の文書がすべてであるような書き方は不自然だと思うのです。
同じページのすぐ上でお詫びの言葉は述べているので、ここで同じような言葉を繰り返すのは単に冗長なだけで中身がないというのが私の考え方です。

後半のコンプライアンス体制については「こうあるべき」「こうあってほしい」ということを表明しているだけで4月3日の文書の内容のどこが問題なのかという指摘がないので、管理人さんが何を言いたいのかわかりにくくなっています。
それに一応
>~監視体制の強化は2年前から猛スピードで進めております。たとえば~
といった現在の体制整備状況についての説明もあるわけだし。

全体的に澤上氏個人の弁明や反省が中心なので、会社という組織の文書としてはどうなのかなぁという気はするんですが。

アルビレオ (2006/04/14 10:09:34)

って、いちいち食い下がるほど気にしているわけでもないし、あまり楽しめるわけでも盛り上がれる話題でもありませんね。
自分でもつまらないことを書いてしまった気がするのでコメントを削除したい気分です。
そんなわけでここで書いたコメントは無視してくださってけっこうです。あまり大げさに受け取らないでくださいね。

ファンドの海管理人 (2006/04/16 16:19:40)

アルビレオさん、コメントどうもです。ま、お互いに大人の対応ってことで。ここの読者の方も大人の方が多い印象ですし、大丈夫です。



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