2006年05月10日
書評:藤巻流、5年後にお金持ちになる方法
藤巻健史氏は元モルガン銀行で「伝説のディーラー」として呼ばれたほどの人。彼が執筆した「藤巻健史の 5年後にお金持ちになる 『資産運用』入門」という本を読みました。さて、彼が教える運用法とは?
本書の内容は、藤巻氏が品川女子学院で行った金融講座の授業内容に加筆修正したものです。会話的な内容で分かりやすく、ところどこに出てくる藤巻氏自身のエピソードと相まって飽きさせません。
藤巻氏の主張は、本のオビにある一文がよく表しています。
15年続いたデフレがついに終わり、今後は資産インフレの時代が来ます。だから私は固定金利で一生懸命お金を借りて、株と土地と外貨建て商品を買っています……
資産インフレというのは、消費者物価はそれほどあがらないけれども、株や土地といった資産の値段がぐぐっと上がっていくこと。藤巻氏は今後この資産インフレになると確信しているからこそ、「借金してでも株や土地を買うべし」と言っています。
そしてインフレになると円が安くなり、外貨が高くなることから、「外貨も買いだ」となるそうです。
これから資産デフレがやってくる、というのは本書に限らず、藤巻氏がこのところずっと一貫してあちこちで主張していること。本書でもいたるところでこの主張が繰り返されます。とてもシンプルで簡潔。
ただこの本では、「なぜ資産インフレがくるか」についての深い掘り下げはありません。それはたぶんこの本の目的ではないからでしょう。資産インフレが来るということは藤巻“伝説のディーラー”健史氏の確信であり、それを前提に「どのような資産運用をするべきなのか」という点に焦点が当たっています。
資産運用法としてのポイントは、チャートを見て研究したり、個別の株や業種を調べるよりも、長期で考えて金融商品を選べ、ということ。
どういう状況になればインフレになるか、どういう状況になればデフレになるかということをはっきりわかっていて、かつ、インフレになったらどういう商品がいいのか。国債とか、銀行預金とかがいいのか。そういうことをきちんと理解できた人の勝ちなのです。そうしたことをわかる人がお金持ちになれるのです。経済や金融の勉強をしていないで、チャートだけを見ながら、「あぁ、A社の株が昨日はせっかく上がったのに、今日は下がっちゃった。いやだぁ」などと思っていると、お金持ちにはなれない。
それが前述した「株や土地や外貨を買うべし」につながっていきます。
私はいつも長い目で経済予測をして資産を動かす。それが私の、モルガン銀行時代からのプロフェッショナルディーラーとしての資産運用の実践原理です。
長期投資をしろという主張は、資産運用のほとんどの本で登場します。しかし藤巻氏の明確な主張と経験からくる説得力は独特のもの。しかも現在では自腹を切って自分の主張に賭けた運用をしているのですから、こちらも読んでいるうちに「そうだ、もっと株や土地を買おう」と、投資する元気が沸いてくるような気持ちになる。僕にとって投資する勇気を与えてくれる本でした。
ただし、本当に藤巻氏がいうように資産インフレが来るかどうか、それは普段から雑誌や書籍を読んで、自分なりの判断をまとめておいたほうがいいでしょう。
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