2006年06月14日
書評:いかにも真面目な「個人資産」形成術
藤巻健史氏の本を買ったときにたまたま「最強の「個人資産」形成術」というタイトルの本を見つけて、面白そうだったので一緒に買って読みました。
タイトルは「最強の」なんて言葉がついて大げさですが....真面目な本でした。
プロフィールによると、筆者の米田隆氏はエル・ピー・エル日本証券代表取締役社長。「商品の宣伝本だったらやだなあ」と思って買う前にパラパラめくってみたのですが、とても真面目に書かれた感じの本でした。その印象はこの本を買って、読み終わった今でも変わりません。いまの日本の経済状況を分析し、将来を予想し、読者が老後のための資産形成のためになにをするべきか、ということがとても真面目に書かれています。
第一章で筆者は、高度経済成長の時代のような右肩上がりは終わり、年功序列の賃金体系も消えたいま、多くの人は所得の減少のリスクにさらされ、一方で長寿化しているのに年金は減る。課税も強化されつつある。という現状を指摘。
僕もこれにはまったく同感です。これを前提に、
老後のための資産形成はこれまでのような「家計簿の眼」では覚束なく、バランスシートやポートフォリオといった「財務の眼」を基軸とし、専門性をもって計画的に行う必要があるということだ。(本文から引用)
と、資産形成の方法としてバランスシートとポートフォリオの重要さを説きます。
そして資産形成では、稼ぐ能力とともに、資産運用のための資金を生み出すためにも、消費スタイルを見直すべきだとしています。これが筆者のいう「バランスシート」の重視です。
筆者は、バランスシートを改善してより多くのお金を早い時期から投資に回せるように、いろんなノウハウやデータを、多くのページを割いて説明をしています。その理由は次の文に表れています。
運用成果の方程式を知れば、安穏ではいられなくなる。運用成果は「元本×利回り×運用年数」で決まる。この3つの要素のうち、あなた自身の力が及ぶ、すなわちコントロールできるのはどれだろうか?
(略)
答えは明らかだ。運用年数こそが、あなたがコントロールできる唯一の要素なのである。運用年数が長ければ長いほどリスクは少なくなり、長期保有のメリットが出てくる。したがって「いま」から始めるしかない。先送りする理由は何もないのだ。(本文から引用)
そして、運用のためにどんな金融商品を選ぶのかを「ポートフォリオ」として、国内株式、海外の株式、債券、といったものにそれぞれどれくらい投資するのか、年代別などにして提案してくれます。
筆者の主張はオーソドックスに、インフレに負けないこと、長期投資、分散投資です。過去のデータをグラフにして、なぜこれらが大事なのかも丁寧に説明されます。
全体にやや硬めの文章で、まるで参考書を読んでいるかのようにも思えますので、気軽に投資法を知りたいというよりも、投資の知識がついてきて一冊硬めの本を読んでみたい、という人にいいのではないかと思います。
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