2006年12月10日
5兆円の投資信託「グロソブ」運用会社の言い分
日本で一番売れている投資信託「グローバル・ソブリン・オープン」。その額たるや5兆円以上! その運用元である国際投信投資顧問 副社長は、運用結果よりも情報提供が大事だと言っています。
先日のエントリー「「投信の罠」週刊ダイヤモンドの特集は買いだ!」でも紹介した週刊ダイヤモンドで、国際投信投資顧問 副社長で“ミスター・グロソブ”山内一三氏は、紙面でこう発言しています。
「信託報酬を引き下げても、お客さんにとって、たいしたメリットにならないと思う。それよりは販売会社とともに、セミナーなどを通じた情報提供に力を入れていくべきだと考える」
週刊ダイヤモンド 12月2日号 34pから抜粋。太字はファンドの海管理人による
この発言には、いろんなブログでブーイングがあがっています。トラックバックをいただいたところを中心にまとめてみましょう。
僕なら説明会なんていらないからコストの安い投信を選びますけど。
Site.M from 新所沢 「投信の罠」宣伝費のコストのためだけでは、このような高額な信託報酬を計上する正当な理由にはならないだろう。
ris「グロソブ(グローバル・ソブリン・オープン)の問題点」気になる(というよりも、率直な感情として怒りすら覚えます)内容が掲載されていました
たけくらべ 「「投信」の罠」投資家を小馬鹿にした運用会社があることはハッキリと備忘録に残しておきたいと思います
rennyの備忘録 「ボヤ騒ぎで済むでしょうか」プロなんだから、読んでるんでしょうね?それで、そのセリフなのでしょうか??
NightWalker's Investment Blog 「投信の罠」
みなさん怒ってます、もしくは、あきれてます。みんな投資信託を購入するのは「お金を増やしてほしい」からですよね?
グロソブを買う人は「お金を増やすより、説明会を! 情報提供を!」と望んでいるのでしょうか?
例えばいま、グローバル・ソブリン・オープン毎月決算型の信託報酬は年1.3125%ですが、この信託報酬を0.5%引き下げて約0.8%にすれば、100万円を投資している人は年間5000円、リターンが増えるんです。でも、山内副社長は「信託報酬を引き下げても、お客さんにとって、たいしたメリットにならない」と思っているんです。
そんなことありませんよ。グロソブを買っている人は、美容室で僕に「だって損するのイヤでしょ!」と言い切るようなおばさんがいっぱいいるはずなんです(「美容院で隣に座ったおばさんの投資信託」)。損したくないんですよ。信託報酬を引き下げてほしいはずなんです。でも、だったらほかの投資信託を買うべきでしょ。
じゃあなぜ、信託報酬を引き下げないグロソブは売れているのか?
情報提供が足りないからです。
山内副社長、国際投信投資が行うグロソブについての情報提供には、「信託報酬を引き下げれば、顧客の取り分が増える」という、投資信託のもっとも基本的な情報は含まれているでしょうか? 「分配するごとに税金がかかる場合があり、顧客にとっては分配が多い方が不利だ」という、分配に関するデメリットもきちんと伝えられているのでしょうか?
実際は、顧客にとって大事なこういう情報より「毎月分配金がでますよ」という耳障りのよいところだけが強調されて、「お金が増えそう」「安全そう」というイメージで売れている。実際は違うのに。
グロソブが日本でいちばん売れているというのは、投資信託に関する情報提供がまだまだ足りないからなんだ、と思います。月並みな結論ですけど。
[関連エントリ]
・ 「投信の罠」週刊ダイヤモンドの特集は買いだ!
・ だれにでもグロソブを勧めるのもどうかと思うなあ
・ 「新しい「投資信託」の本」はグロソブ所有者向け
・ フィデリティの新ファンドは隔月分配
[関連カテゴリ]
・ 7.販売手数料と信託報酬
・ 5.その他の投資信託
[広告]
投信の罠−週間ダイヤモンド [投資信託で長期投資から]
w3zero7 (2006/12/10 18:16:19)
こんばんわ。初めてコメントいたします&TBはらせていただきました。
“ミスター・グロソブ”山内一三氏の発言にはあきれますね。わたしも同じく買う側に情報がたりないと思うのですが、じゃあどうすれば情報を普及させることができるのかということになると難しい問題だと思います。売る側はわざわざデメリットになるようなことを強調して客に言うことはないでしょうし、買う側も毎月分配=儲かるという図式で購入しているのだと思います。
買う側がグロソブを金融商品として見直すきっかけができればいいのですが。
ヲ太 (2006/12/16 21:22:19)
グロソブの功罪・・・というより「毎月分配型投信」の功罪のような気がします。「普通分配」と「特別分配」の仕組み。それによる「個別元本」の下落。運用会社の意のままの基準価格・・・数年後が不安ですね。
[トラックバックURL]