2007年03月16日
良心的な投資信託を選ぶ10の方法(2007年版)
前回の「僕が投資信託を好きな10の理由」に続き、今度はもう少し実用的なテーマ、投資信託の選び方を僕なりに考えてみました。
ふだん投資信託のブログを書いているのだから10個の理由くらいすぐに思い浮かぶだろうと思っていたのですが、実際にはなかなか大変でした。とはいえ、「理由を10個書く」というのは、どうやら自分の考えをまとめるよい方法のようです。それに読む人にとっても分かりやすいのではないかなと。
能書きはこの辺にして、僕なりの「良心的な投資信託を選ぶ10の方法」をどうぞ!
1.信託報酬が安いかどうか
これまでの実績がどんなに素晴らしい投資信託だって、将来の実績が約束されているわけではありません。一方で、信託報酬はあらかじめコストとして決定しています。実績が保証されていないのに、コストだけはあらかじめ決まっているのならば、そのコストは低い方がいい。高い信託報酬は問題外です。ついでに、その他の費用もチェックしておくとモアベター。信託報酬の目安としては、「債券ファンドの場合、信託報酬は1%以下」「株式ファンドの場合、信託報酬は1.6%以下」と考えています。
2.販売手数料が安いかどうか
Webブラウザからマウスをクリックして買える投資信託なら、販売手数料なんてゼロでもいいはず。それに、もし窓口で30分説明を受けたとしたって、それで数%の手数料を取るなんて高すぎると思いませんか? いまは同じ投資信託でも販売経路によって販売手数料が違うことがあります。どうせなら販売手数料の安い投資信託を、安いところから買いましょう! 高くてもせめて1%台。ノーロード(販売手数料ゼロ)なら言うことなしです。
3.償還時期を確認
投資信託は長期投資が基本。「償還期間は5年後」などと決まっていたら長期投資にはなりませんし、償還時に景気が悪かったら、元本割れで償還する可能性だってあります。できるなら、償還期限は無期限、長期投資をしたいだけ続けさせてもらえる投資信託がいいです。
4.分配が年1回かどうか
分配そのものは悪くないのですが、分配すると分配金から税金が引かれます。税金はできるだけあとのほうで引いてもらったほうが運用上は有利。なぜなら、資産が複利効果で雪だるま式に増えていくスピードがより速くなるからです。途中で税金を引かれると、それだけ雪だるま式の増え方が鈍くなります。長期投資を掲げるなら、毎月分配など問題外。1年に1度の決算と分配が行われる投資信託を選びたいものです。
5.再投資可能かどうか?
分配金が出た場合、それが自動的に再投資できるかどうかも大事な点です。再投資可能な投資信託なら、分配金が出ると販売手数料ゼロで自動的に再投資されて、元本に組み込まれます。ラクチンです。もし再投資不可能なら、再投資するときに販売手数料がかかるし、証券会社などに投資信託購入の指示をしなければいけません。長期投資で、複利でお金を増やしていきたいなら、断然、再投資可能な投資信託を選びましょう。「累投型」「分配金再投資型」「自動けいぞく投資コース」などが選べるのならば、それは再投資可能な投資信託です。
6.積み立て可能かどうか
積み立て可能な投資信託(あるいは証券会社)を選ぶと、自動的にMMFや銀行口座から引き落としてくれるので、ラクチンで確実。毎月決まった額で、少しずつ投資信託を購入しする「ドル・コスト平均法」が実践できます。
7.運用実績が3年以上あるか?
3年以上経過していれば運用も安定してくるそうです。新しい投資信託ってなんとなく心配なものですしね。
8.純資産が30億円を超えているか?
純資産が小さい投資信託は、強制償還されてしまう可能性があります。強制償還されなくとも、コストがあがってしまうこともあるし、規模が小さいと使えるコストが小さいゆえになかなか思い通りの運用ができない可能性もあるそうです。いくつかの書籍や雑誌などの情報を総合すると、順調に投資信託の運用を行うにはだいたい30億円以上の純資産があれば安心とのこと。
9.ランキングは参考にしない
マネー雑誌の巻末などには、たいてい「先月儲かった投資信託ベスト10」とか、「実績別投資信託ランキング」といった騰落率による投資信託のランキングが載っているものです。でも、ランキングは参考にしないでください。過去の実績がよいから、これからもよい、ということはないのです。逆に、ランキングに載っているのは短期的には旬が過ぎて、いまは一時的に下降している可能性だってあります。
10.運用方針に共感できるか
どの投資信託にも運用方針があります。その運用方針に共感できるかどうか、投資信託を選ぶ際にはよく資料を読むことが必要ですね。インデックス型の投資信託なら、これは比較的シンプルに選べると思いますけれど。
いろいろ考えた結果、番外が2つできてしまいました。簡単に紹介します。
番外1.複数の金融機関が扱っているか
複数の金融機関が扱っている投資信託の方が販売が安定していそうです。それはとりもなおさず、運用の安定につながると思います。
番外2.買い取り請求できるか
買い取り請求できるほうが、場合によっては税金が有利になります。
さて、いかがだったでしょうか。できるだけ自分が重視している順番に書いてみたつもりですが、それなりに実用的な中身になったのではないかと思います。
[関連エントリ]
・ 僕が投資信託を好きな10の理由(2007年版)
・ おすすめ投資信託ベスト10(暫定版)
・ ズバリ「儲かるファンドの見分け方のコツ」
・ 適切な信託報酬の値は、カン・チュンド氏によると...
・ 信託報酬が販売会社のキックバックになっている現実
・ 販売手数料の安価な投資信託は、全体の3割以下しかない
・ 繰り上げ償還の投資信託になにが起こったか
・ 税制の変更で買い取り請求のほうが得に?
[関連カテゴリ]
・ 2.どの投資信託がおすすめ?
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≫次 : さわかみファンドへの投資をやめた二人の理由
≪前 : 僕が投資信託を好きな10の理由(2007年版)
「「先月儲かった投資信託ベスト10」のご指摘ほんとにそうですね。
ああいったランキングを見るたびに、1ヶ月に偏って急激に上がっちゃったファンドを一覧にしているということは、リスクが大きく、また今後の上昇余地に乏しいと考えられて「買ってはいけないリスト」なんじゃないか、と思えることすらあります。
それでも雑誌には騰落率ランキングって載ってしまうんですよねえ。なんか別のランキングにすればいいのに。手数料の安い順とか、っていつも思うんですけどね。
初心者の質問で申し訳ありませんが、ここ1ヶ月色々な方のブログを読んだりバートン・マルキール氏の本を読んだりしていて皆さん同じ忠告をしていましたが、もしも読者がすでに管理人さんが昔の記事で仰っていた「カモファンド」を購入してしまった後の時はどうしたら良いのでしょうか? 忠告をしてくれる方は多々いるのですが、すでに失敗してしまった人へのアドバイスをしてくれる方はあまりいません。何も知らなかったうちの母は銀行に相談しグローバル・リブソンを購入してしまいました。カモファンド購入者は差し引きゼロになるまで利益が出るまで待ってから即解約するのが最策なのでしょうか? ご助言お願いします。
思いっきり突っ込み入れます。
「良心的な」だけに注目すれば、1.信託報酬、2.販売手数料、はそれほど不合理ではないと思います。
が、私なりに「良い投資信託を選ぶ10の方法」を描くとなれば、信託報酬、販売手数料は5番以内には入れません。うーん、1番目は何かな? 資産クラスとか、パフォーマンスかな・・・
外債投資情報さん
「良心的な投信」の話題なのに突然それとは違う話をはじめても、突っ込みになっていないですよ。
外債投資情報さん、アルビレオさん、こんにちは。人によって選ぶときのプライオリティが違うのは当然と思います。僕はコストの高い投資信託はまず最初に選択肢から外れる派なんですよね。なのでああいう順番になったと。
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