2007年04月10日

書評:「投資信託にだまされるな」で、もうだまされない!

数日前に発売されたばかりの本「投資信託にだまされるな」は、あのダイヤモンド社が版元。タイトルは刺激的ですが、中身は「正しい投信の選び方」がしっかり書かれています。いい本です。おすすめです。

ダイヤモンド社といえば、週刊ダイヤモンドの特集「投信の罠」で、いままでのマネー雑誌ではほとんど語られなかった投資信託の負の部分もしっかり特集した出版社。この書籍でも、投資信託の悪い部分までちゃんと解説したうえで、どうすればいいのか、という回答も用意してます。

表紙の裏に書かれた解説を読むと、この書籍の内容とスタンスが端的につかめるでしょう。

日本の投信は問題だらけです。
(略)
人気の投資信託には プロの仕掛けた巧妙なワナが たくさん隠されています。

本書では広告例を通じて
「投信のワナ」の見破り方を解説し、
その後に、数少ない良質な投信の
使い方をやさしく解説しました。

多くの投資信託入門書が「投資信託の仕組み」とか「投資信託の利点」といった教科書的で抽象的な解説から入るのに対して、本書は「投資信託でだまされやすいポイント」を紹介。まずは、そうしたワナから身を守る方法をまず説き、そのうえで良質な投資信託の見分け方と、具体的な商品を挙げています。この展開は分かりやすいうえに、徹底的な実用性を本書に与えています。

内容を紹介しましょう。

前半は、投資信託の広告に仕掛けられた巧妙なワナを見破るテクニックを紹介。例えば、定期預金とのセット商品、毎月分配型、ファンド・オブ・ファンズがいかにぼったくりかを紹介しています。ここは「金融広告を読め」を、より分かりやすくしたような内容。

そして、この本の最大の価値は後半。どんな投資信託を選べばいいのか、「ほんの少しだけある手数料の安いまっとうな商品」(本文から)がずばり書かれています。

それは「インデックスファンド」であり、その中でも、信託報酬が1%未満、販売手数料はゼロ、と条件を明示。

・ニッセイTOPIXオープン(ニッセイアセットマネジメント)
・インデックスファンドTSP(日興アセットマネジメント)
・トピックスオープン(三菱UFJ投信)

・年金積立インデックスファンド海外株式(ヘッジなし)日興アセットマネジメント
・ステート・ストリート外国株式インデックス・オープン(ステート・ストリート投信)

これらの投資信託がおすすめだと紹介しています。

僕も筆者の意見や解説に全面的に賛成です。日本の投資信託は、手数料も信託報酬も高すぎます。消費者は自衛手段として、これらがより安い商品を買うべきで、その指南本として本書はあらゆる書籍の中でもっとも優れた本だといっても言い過ぎではありません。

こういう忌憚のない本が増えることは、とてもいいことだと思います。

あえて本書の悪いところをさがすとすれば、説明が「ちょっと物足りないかも」と思うくらいシンプルなところ。でもそれは、この本が参考書ではなく実用書を意識して書かれたためと思えば、十分に納得できるものです。

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投資信託にだまされるな! [rennyの備忘録から]

ジレ (2007/04/10 9:04:09)

はじめまして。興味深くよませてもらっております。資産形成したいですが、それに多くの時間を割きたくはないというのが本音なので、投資信託が投資の有力候補かなと思っております。紹介されていた本を見てみようと思います。以前に「インデックスファンドの受益者が損をする可能性」2004年11月29日 というエントリがありましたが、実際はどうなんでしょうか。ちょっと気になります。

新幹線 (2007/04/10 22:48:39)

と、思ったらもう書評が書かれていましたね。とりあえず現在では、情報の斬新さなどを見ても、入門書として薦められるもののように見えます。

理解している人にとっては物足りないでしょうが、とりあえず無知の人には取っ掛かりを作ることが大事でしょうから。



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