2007年06月20日
メディアが投資を語るとき、なぜかインデックス投資は軽視される
多くの書籍にはインデックス投資の有効性が説明されているのに対し、雑誌やテレビでは、なぜかインデックス投資ではなく、“人より勝てる投資≒アクティブ投資”がもてはやされる傾向にあります。
それは、「この銘柄は急上昇する!」といった話題のほうが「インデックスを買ったらずっと持ってればOK」というインデックス投資法よりずっと話題性があるし、「これでお金が2倍になった!」という記事のほうが読んでいて楽しいですものね。
オンラインマガジンの記事「“投信におまかせ”が儲からない理由――投資のプロはどこにいる?」でも、著者が、
しかし実際には、良い会社を選ぶよりも、良い投資信託を選ぶほうが数段難しいと筆者は考えている。
と、投資信託選びの難しさを説いたうえで、
ただでさえ株式投資で利益を出すのは大変なのに、手数料を取る投資信託を買ってそこから利益を生み出すのは大変なことだ。
一般に投資信託の手数料は高い、という正しい問題提起をして、
日本では、さわかみファンドなどが良心的な報酬体系で正統派な投資信託を行っているが、稀少な存在である
その手数料を低く抑えたさわかみファンドに理解を示しています。ところが、なぜかここから個人の資産運用の手段として、
最近では、ラップ口座(ラップは包むという意味)という仕組みも徐々に増えてきている。
(略)
マネックスなどが共同で行っている自動売買ロボット「カブロボ」などが面白いかもしれない
といった微妙な方向へ走り出して、インデックス投資に関してはほぼ完全にスルーである。なぜインデックス投資がここで出てこない? 著者が主張する手数料の安い方法であり、しかもプロの投資家より統計的に優れている、という資料はいくらでもあるのに。
例えば、投資家向けの良心的な書籍をちょっと読めば、インデックス投資の利点はいくらでも書いてあります。超有名本から引用。
インデックス・ファンド投資は、私が個人と機関投資家の両方に対して、最も強く勧めるアプローチである。
「ウォール街のランダム・ウォーカー」第14章 2節
これ以外にも、「敗者のゲーム」といった一般投資家向けの良心的な書籍では、インデックス投資が推奨されています。
さらに、プロの投資家の頂点に立つウォーレン・バフェット氏も、今年こう言っています。
[オマハ(米ネブラスカ州) 6日 ロイター] 米著名投資家のウォーレン・バフェット氏は6日、自分は依然として主要市場の株価指数をアウトパフォームできると考えているが、大半の投資家は低コストのインデックスファンドに投資する方が賢明だとの認識を示した。
ロイター通信 2007年5月7日
さて。前述の記事「“投信におまかせ”が儲からない理由――投資のプロはどこにいる?」の著者は、なぜ、こうしたインデックス投資についての話題をスルーするのでしょう? インデックス投資やその利点を知らないのでしょうか? それとも故意に無視しているのでしょうか?
彼が勧めるという投資教育教材を検討する前に、僕たちはそのことを考えた方がいいんじゃないかなあと思います。
[関連エントリ]
・ 良心的な投資信託を選ぶ10の方法(2007年版)
・ 当たり前だけどインデックスファンドの信託報酬は安い
・ マネー雑誌の都合は分かるけど
[関連カテゴリ]
・ 1.よもやま投資信託
[広告]
≫次 : 投資信託の保有期間、平均は3年ちょっと
≪前 : 投資信託のアフターサービス調査、1位はシティバンク
okapi (2007/06/20 5:12:32)
はじめまして。
いつも楽しみに拝見しております。
何かを「売ろう」と言う気持ちがあると文章に矛盾が生じる、という例ではないでしょうか。
ここの商材は真面目なものだとは思いますが、文面からは無理がありますね。
今後も期待しております。
よろしくお願いいたします。
ファンドの海管理人 (2007/06/21 0:10:46)
Okapiさん、こんにちは。ご愛読ありがとうございます。やはり、気持ちは文章に表れているのかもしれませんね。僕もブログを書くときには自らを戒めたいと思います。ではでは。
[トラックバックURL]