2008年01月19日

“ポートフォリオ・パフォーマンスの決定要因”要約の解説(その2)

ポートフォリオのリターンに最も大きく影響するのがアセットアロケーションである、というのが、論文「Determinants of Portfolio Performance」の結論でした。そして、論文からはこれに関連した複数の結論をも読み取ることができます。

さてもう一度、論文「Determinants of Portfolio Performance」(ポートフォリオ・パフォーマンスの決定要因)の要約の結論部分となる、第2パラグラフを引用しましょう。

調査結果によって示されたのは、マーケットタイミングや銘柄選択よりも、アセットアロケーションが最も大きくポートフォリオのリターンに影響を与える、ということだ。トータルリターンのうち93.6%がアセットアロケーションによる変動量であった。

ポートフォリオ・パフォーマンスの決定要因~要約から

この結論は、前半と後半の2つの部分からなっています。前半は“マーケットタイミングや銘柄選択はリターンにとって大して重要ではない”といっています。そして後半で“アセットアロケーションがリターンにとって重要である”としています。

この後半部分である“アセットアロケーションが大事”というのは、とてもシンプルな結論で、理解しやすいものです。ポートフォリオのリターンをよくしようとするならば、日々の売り買いとか、有望な銘柄の発掘に注力するよりも、適切なアセットアロケーションを設計し、それを守ることに時間とお金を費やすべき、というわけです。

一方で、前半部分である“マーケットタイミングや銘柄選択はリターンにとって大して重要ではない”という結論は誤解されがちです。

“銘柄選択はリターンにとって重要ではない”というのはどういうことでしょう? 銘柄選択が重要でないなら、どんな銘柄を選んでもいいのでしょうか? この結論だけを見てしまうとそう誤解されても仕方がないのですが、正しくはそうではありません。

この調査は、インデックスで構成されたポートフォリオをベンチマークに使っています。そして、そのベンチマークに対してリターンを向上させようとマーケットタイミングや銘柄選択を駆使したとしても、大してリターンに影響はなかった、と結論づけたのです。

ですから、少なくともインデックスに対抗できる程度の銘柄選択をしたうえで、それをさらに向上させようと銘柄選択に注力しても“大した影響はなかった”ということであって、どんな銘柄を選んでも関係ない、という意味にとるべきではないのです。

それから、コストに関しても興味深い結論を読み取ることができます。要約の第3パラグラフを引用しましょう。

調査期間におけるベンチマークポートフォリオの年間リターンは平均で10.11%。一方で、現実の91のポートフォリオの年間リターンは平均で9.01%、そして現実のポートフォリオはアクティブに運用されており、その管理コストは平均で年1.10%だった。

平均で1.10%のコストをかけてアクティブ運用したとしても、そのアクティブ運用から得られる超過リターンはなかった、ということのようです(だからといってアクティブ運用は無意味だとまではいえないでしょうけれど)。

さて、こうして「Determinants of Portfolio Performance」(ポートフォリオ・パフォーマンスの決定要因)を読み解いてきたわけですが、この結論をだれもがすんなりと受け入れたわけではありません。専門家のあいだでは、この論文をめぐって反論や検証が行われてきました。

次のエントリでは、そうした議論の経緯をみていくことにしましょう。

[関連エントリ]
“ポートフォリオ・パフォーマンスの決定要因”要約の解説(その1)
論文「Determinants Of Portfolio Performance」の要約
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ポートフォリオとアセットアロケーション

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