2008年01月25日
アセットアロケーションについての論文リンク集
ブリンソン氏らの論文をきっかけに、アセットアロケーションの重要性に関する議論が専門家たちのあいだで繰り広げられました。その経緯は前回のエントリ「アセットアロケーションはどこまで重要か? 専門家たちの議論」で紹介しています。ここでは、主な論文の入手方法などについて紹介します。
まずは、なんどもなんども登場した、議論の原典であるBHB Study。
「Determinants of Portfolio Performance」(ポートフォリオ・パフォーマンスの決定要因)
Gary P. Brinson, L. Randolph Hood, and Gilbert L. Beebower
Financial Analysts Journal, July/August 1986
この論文は、ネットで無料で公開されています。入手方法は以前のエントリ「論文「Determinants Of Portfolio Performance」を入手する!」をご参照ください。
この論文は、5年後にアップデート版がでました。
「Determinants Of Portfolio Performance II: An Update」(ポートフォリオ・パフォーマンスの決定要因2:アップデート版)
Gary P. Brinson, Brian D. Singer, Gilbert L. Beebower
Financial Analysts Journal, May/Jun 1991
このアップデート版の方は残念ながらネットでは公開されておらず、有償で購入する必要があります。
一方で、ヤンケがBHB Studyに反論した論文は、幸いなことにネットで公開されています。
「The Asset Allocation Hoax」(アセットアロケーションのまやかし)
William W. Jahnke
Journal of Financial Planning, February 1997
この、公開されている「The Asset Allocation Hoax」のページは、2004年にJournal of Financial Planning誌が25周年を迎えた際に、“The Best of 25 Years”の論文の1つに選ばれた記念のページのようです。
米モーニングスターのサイト内に設けられたイボットソン・アソシエイツの論文リストの中には、イボットソンとカプランの論文を見つけることができます。これも無償公開されています。
「Does Asset Allocation Policy Explain 40, 90, or 100 Percent of Performance?」(アセットアロケーションはパフォーマンスの40、90、100パーセントを説明する?)
Roger G. Ibbotson, Paul D. Kaplan
Financial Analysts Journal, January/February 2000
より大規模に調査を行ったバンガード・グループの論文も、バンガードのサイトで公開されています。
「Sources of Portfolio Performance: The Enduring Importance of Asset Allocation」(ポートフォリオ・パフォーマンスの源泉:揺るぎないアセットアロケーションの重要性)
The Vanguard Group
Vanguard Investment Counseling & Research, July 2003
同社の投資信託を日本で扱っているマネックス証券の内藤忍氏が「投資のリターンの80%はアセットアロケーションで決まる」という根拠は、この論文にあるのだと思います。
さて、前回のエントリでは触れていませんが、2005年と2006年には、BHB studyの著者の1人であるフッド氏が、BHB studyを振り返るような2本の論文を発表しています。有償での公開のため、僕はまだ内容を確認できていません。
Determinants of Portfolio Performance -- 20 Years Later
Financial Analysts Journal
Randolph L. Hood, CFA
September/October 2005, Vol. 61, No. 5: 6-8
“Determinants of Portfolio Performance -- 20 Years Later”: Author's Response
Financial Analysts Journal
L. Randolph Hood, CFA
January/February 2006, Vol. 62, No. 1: 11-12
(doi: 10.2469/faj.v62.n1.2782)
このエントリをお読みの方も、もし興味があればぜひいろいろな原文にあたってみてください。それぞれの論文の最後にある“Conclusion”(結論)などと書かれているところをざっと読むだけでも、興味深い内容が読み取れるのではないでしょうか。
[関連エントリ]
・ アセットアロケーションはどれほど重要か? 20年の議論の軌跡
[関連カテゴリ]
・ C.アセットアロケーション
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