2008年06月21日
僕がETF(上場投資信託)に熱くなれない理由~ETFの利点と欠点
最近、投資信託の中でも注目されているのがETF(上場投資信託)。市場のインデックスに連動して、株式と同じように売買できて、信託報酬が安い、といった特徴があります。
最近はこのETFに注目が集まっていて、雑誌や新聞などで取り上げられています。僕がよく読んでいるマネー系のブログで取り上げられることも増えています(ETFってなに? という方は、東京証券取引所のETFスクエアをどうぞ)。
ただ僕は、なんとなくETFに熱くなれないのです。「ETFか、よし買ってみよう!」という気になれないというか。
あ、ETFに対してネガティブな考えを持っているわけじゃないんですよ、ETFはよい金融商品だと思いますし、普及して商品の選択肢が広がることは非常によいと思います。しかし僕は一般の投資信託への興味ほどには、ETFへの興味がわかない、ということなのです。
なぜ僕がETFに熱くなれないのか。考えを整理するために、僕なりのETFの利点、欠点を挙げてみます。
ETFの利点
(1)インデックス連動なので分かりやすい
(2)海外の多様なETFが国内でも買えるようになってきた
(3)信託報酬が安い
(4)株と同じように売買できるため、売買コストが低い
ETFの欠点
(1)小額投資しにくい
(2)積み立てしにくい
(3)いまのところ国内で売買できる種類が少ない
利点の2番目で挙げたように、いまETFが盛り上がっている理由は、これまで購入できなかった海外のいろんなETFが国内の証券会社で買えるようになって、品揃えが充実してきたことが一因としてあります。しかもよく知られているインデックスに連動しているので分かりやすい。例えば、米国のS&P500に連動するETFとして有名なSPDRとか、MSCIエマージングマーケットインデックスに連動するEEMとか。
それらが、一般の投資信託と比べると安い信託報酬で提供されているといわれています。特に、現在の投資信託は販売手数料や信託報酬が1%から3%と高いものが多いのに比べると、ETFの安さはとても魅力的です。
加えて、インデックス投資という合理的な投資手法が徐々に広まってきていて、その道具としてのETFにも注目が集まっている。という追い風の状況もあるかもしれません。
こうした優れた商品が登場して市場が活性化するのは、とてもいいことだと思います。選択肢も増えますし、競合する投資信託も「こりゃうかうかできないぞ」と思ってほしい。
しかし僕にとっては、欠点としてあげた「小額投資しにくい」「積み立てがしにくい」といった点が気になって、「ETFに投資してみよう!」という思いがわいてこないんです。
その辺の話は、また次回に。
[関連エントリ]
・ 新興国を投資対象にした海外ETFはどうなんだろう
[関連カテゴリ]
・ 2.どの投資信託がおすすめ?
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えっ,でも,少額投資や積立投資がしにくいというのは,投資信託で積み立てていってある程度たまったらETFにリレー投資するという方法で解決できるのでは?
ガウスさん、こんにちは。はい、そこは投資信託の便利さととETFを組み合わせたときに生まれる利点ですよね。
でも、たまったらETFに、というところはいずれにせよ自動ではできませんから手間もかかります。投信ならそんな手間もかかりませんし。
というわけで、ETFを見たときには「積み立てしにくい」ということでご了承を。
積み立てを投信で行うとしたら、ETFに乗り換えるときに一度換金され利益に対して課税されるわけですよね。となると税コスト分だけ不利になりますね。
あつまろです。同感です。
特に最近ブームの感さえある、海外ETFにこそ小額投資のしにくさが表れているように思います。あえてMSCIコクサイ指数連動商品は、ETFでなく、インデックスファンドで購入しています。
ガウスさんのリレー投資というのは、よい選択肢のひとつだと思いますが、インデックスファンドを売って利益に対して課税されるので、完全な方法ではないように思います。
すみません、リレー投資については、えんどうさんが既に指摘されていました。見落としていました、失礼しました。
ETFって、本当にINDEXに連動するのでしょうか?
通常のINDEX投信の場合、単純化するとシステム
が
①ファンドから各種手数料を差し引く
②INDEXと同率になるようポートフォリオを調整
③ファンド総額を口数で割る
というプロセスによって一口あたりの時価が決まります。
誤差の発生は②でINDEXと時差が発生したり、銘柄ごとの割合の端数が発生した場合に限られます。
一方、ETFの場合はINDEX投信の①②③に加え、投資家の思惑、人気投票が入るのではないかと思うのです。
③がいくらであろうと、株と同様に需給によって価格は変わってしまうのではないかと。
当該ETFの知名度が非常に高ければ裁定が入るので問題ないですが、それほどでもなければ③と意外と乖離するケースもあるのではないかと思います。
この点、いかがでしょうか。
※このあたり、理解しないままにETFを買い込んで
いますが。。(笑)
えんどうさん、あつまろさん、ちゃぼさん、コメントありがとうございます。
ちゃぼさん、僕も断言できませんが、ETFといえども売買の大きさによってはそれによって値が上がったり下がったりすることは避けられないと聞いたことがあります。
この点、どなたか詳しい人がいればぜひコメントを。
ちゃぼさん
全部のETFがそうではないですが、主要なものだと「現物株バスケットとの交換」によって価格の連動性を確保しています。
現物株バスケットは最低でも億単位になったりするので、証券会社などがその役割を果たしているんですが。
ETFがその対象よりも安くなると、証券会社は市場でETFを買い、ファンドに対して現物との交換を要求します。
そうやって得た現物株を売却することで証券会社は差額により利益を得ることができます。
現物と交換するには大きな単位でETFを買い付ける必要があるのでそのETFの市場価格は上昇し、インデックスに近づきます。
逆にETFの方が高くなると、証券会社は現物バスケットを確保してこれをETF証券と交換後に市場に売却するのでETFの価格は下がりインデックスに近づきます。
http://www.rakuten-sec.co.jp/ITS/investment/in06_beginner_etf_02.html
↑楽天証券の「海外ETF入門講座」はかなり詳しいのでおすすめです。
「分配金再投資などの面で不利」といったデメリットについてもちゃんと書かれていますし。
でもやっぱり市場での需要と供給で価格決定されることには変わりないので、取引量の少ない銘柄はどうしても連動性には不安があります。
取引量もチェックした方がいいでしょう。
個人的な話になりますが、TOKは「日本を除く世界株式」という日本以外ではあまり取引需要のなさそうなインデックスなのにアメリカ市場のみに上場されているという点で非常に疑問視していたんですが、案の定取引は低迷しているみたいで…
余談ですが、先に書いた「現物との交換」はETFのコスト削減にも貢献しています。
普通の投資信託では、投信自体の購入や解約に応じて保有している株式などを買い増ししたり売却したりする取引コストが【信託報酬とは別に】発生します。また小口の解約で細かい売却を繰り返すのはコスト負担が割に合わないので、一部は現金のまま保有しています。
ETFは原則として市場から直接株式を買い付けることはせず、バスケットとの交換によって発行されるので取引手数料を負担せずに済みます。
またETFの保有者が現金化する場合も、市場取引によって保有者が変わるだけでファンド自体にはまったく変化を与えないので、ここでもファンドにとってはコストは発生しません。
普通の投信なら解約費用をファンドが負担するために信託財産留保金などの形で調整しますが、ETFはその必要がないわけです。
どの程度の違いを生むかはわかりませんが、理屈としては信託報酬率が同程度なら実質的な負担はETFの方が少なく済むことになります。
欠点についてはファンドの海管理人さんがあげられたものに加えて、さっきも書きましたが分配金再投資がほとんどできないことですね。
最低単位が大きいのでかなり大量に持っていないとETFへの再投資は無理です。
さらに現物との交換を実現するためなどの理由から、受け取った配当は信託報酬などのコストを差し引いたほぼ全てを分配金として出す必要があり、普通の投資信託のように「分配せずにファンド内部で再投資」ということができません。
http://www.rakuten-sec.co.jp/ITS/investment/in06_beginner_etf_09.html
↑を見るとETFでも「オープンエンド型」なら内部での再投資も可能らしいですが、可能というだけで実際には分配金を出していることが多いようです。
アルビレオさん詳細な解説ありがとございました。分配金再投資まで僕は考慮にいれていませんでしたが、大事なポイントですね。
管理人さん、アルビレオさん
解説ありがとうございます。
今後も引き続きETFを買い続けます。
が、私はイートレで海外上場銘柄を買っていましたが、売買手数料(1回20ドルだか25ドルだか)を考えると、国内上場のものに乗り換えたほうがいいかもしれませんね。
ちょっと検討してみます。
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