2008年07月 2日

投信業界の手数料はなぜ高い、週刊東洋経済の誌上で対決

今週、6月30日に発売された週刊東洋経済の特集「投資信託 『嘘』と『本当』」。この特集の締めくくりには、「2大論客が誌上対決」として、山崎元氏が投信業界への鋭い批判を展開。それにドイチェ・アセット・マネジメントの松尾健治氏が答えています。

ただし、誌上対決とはいっても、それぞれの主張を記事で展開しているだけです。さすがに直接対決をアレンジすることは難しかったのでしょうね。

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楽天証券経済研究所の山崎元氏は、いつもながら僕たち投資家の立場に立ち、投資信託の手数料についての疑問を呈しています。記事から抜粋します。

投資顧問会社と比べても投信の信託報酬はものすごく高い。投資顧問の手数料は運用資産が300億円を超えれば0.126%程度。投信の信託報酬1.5%のうち半分は販売会社に支払うとしても、残りは運用会社に入る。同じ運用なのになぜこれほど懸け離れているのか。もっと下げられるはずだ。投信会社は毎日の規準価額算出や顧客への情報提供にコストがかかるとか言っているが、いくらカネがかかっているのか開示してほしい

投信会社がかけているコストは果たして妥当なものなのかどうか、開示してほしい、と迫る山崎氏。

一方で、ファンドマネージャーのキャリアが長いというドイチェ・アセット・マネジメントの松尾氏は、それに対してこう答えています。

ある大手投資顧問会社を例にとると、100億円を越える部分は確かに0.158%と低いが、個人で100億円払える人がいますか? 1000万円~5億円に対する顧問料は367万円だから、1000万円の運用を頼んだら36%という高率になる。1億円でも3.6%。これなら投信の信託報酬のほうがずっと安い。 (略)投資顧問は大口顧客向けで、投信は不特定多数が相手。1人の機関投資家から100億円を一括して預かるのと、1万人から100万円を預かるのでは手間が全然違う。

注:いずれも太字はブロガーのイーノによる。

投資信託では手間が全然違うことは僕にも分かります。しかし、果たしてその手間はいま僕たちが支払っているコストに見合うものなのか?そのコストに妥当性があるのかどうかについての説明はありません。大手顧問会社の例を出して、投資信託の信託報酬のほうが安いとの主張も、説得力のある比較とは思えません。

とはいえ、2006年12月に週刊ダイヤモンドが、特集で「投信の罠」と題して投資信託業界の手数料について、やはり山崎氏が同様の主張を展開したときには、業界から何の反論も引き出せませんでした。それを思うと、こうして誌上で議論が展開されただけでも、進歩しているのだと感じます。

そしてこの議論が発展して、多くの投資家が投資信託の販売手数料や信託報酬について、もっともっと関心を払ってくれるようになってくれたら、と思っています。

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