2008年09月 2日
アセットアロケーションの重要性と難しさを示す問答(2)
今回も読者からの質問に答えます。今回は、現代ポートフォリオ理論によって配分したアセットアロケーションだって、運用していくうちに基にしたデータが変わっていっちゃうじゃないか、という質問。大事な問いですね。
引き続き、sean.さんの質問の全文はこちらです。今回は2つめの質問について。
その質問を引用します。なかなか鋭い突っ込みですよ。
” 現代ポートフォリオ理論”は、『アセットクラスへの配分比率によって期待リターンとリスクを事前に計算し、さらに効率的フロンティア曲線上の位置を示すことによって、最適な資産配分を検討することが出来る』ことを意味していますね。しかし、この計算は過去のデータに基づいて行われます。アセットクラス毎のリターンやリスク、あるいはアセットクラス間の相関係数は変化しないものなのでしょうか。例えば、エマージング株式にしても、中国を始めとする現在の新興国の規模や影響力は、20年前の発展途上国とは質量とも全く異なっているように感じます。また、昨今は世界的に金余り状態であると同時に金融のグローバル化が進み、相互の相関が強くなっているように思います。
これについて返答する前に、僕が「投資信託の道具箱|ファンドの海」のプログラミングのために現代ポートフォリオ理論を勉強したときに読んだ、ある本のフレーズを紹介します。
現代ポートフォリオ理論は過去のデータに基づいて将来を予測するものであり、テクニカル分析と本質的には同じである。
もうどの本で読んだか覚えていないですし、正確なフレーズも覚えていないのですが、とても印象に残っています。現代ポートフォリオ理論といえども、ぶっちゃけテクニカル分析みたいなもんだよ、と言っているこのフレーズは、「ノーベル賞をとったすごい理論だからきっと正しい」とか「これで理想的な資産運用ができる」といった僕のそれまでの幻想みたいなものを、きれいに流してくれました。
さて。
質問にあるように、将来を予測するために参照する過去のデータというのが本当にそのまま使えるのかどうか、というのは常に問い続けなければいけないものだと思います。過去のできるだけ長い期間を参照すれば、それだけ正確なのかというと、たぶんそうではありません。80年代以降はグローバル化が進んで産業構造も変わってきたとすれば、それ以前のデータを参照して将来を予測することは理にかなっているのでしょうか? 2000年以降のインターネット時代になってから、将来を予測するデータにそれ以前のデータを利用することは理にかなっているのでしょうか?こうした疑問には一人一人違う意見や視点を持っていることと思います。
現代ポートフォリオ理論を信頼するとしても、その理論を利用して計算する基礎データにどのような視点を持ち込むか。100年前から延々と蓄積したデータを用いるのか、1980年代以降のデータのみ用いるのか、それとも 2000年以降のデータを使うのか、生データを使うのか、自分なりに相関係数や期待リターンをいじるのか、などなど、それぞれアレンジすべきだと思っています(ただ、そこまで専門的に調べるのは専門家ぐらいだとは思いますが)。
例えば、「投資信託の道具箱|ファンドの海」で基データとして採用した年金積立金管理運用独立行政法人のデータにも、消費者物価指数の推計値として1%が期待リターンには上乗せされているんです。
でも、物価が年間1%上昇することは正しい推測だと思うでしょうか? いま石油の値段が上がっているから、1%どころじゃなくなる、という人もいれば、デフレの時代、1%も上がらない、むしろ下がっている、と思う人もいるでしょう。基データの恣意性というのは、それぞれだと思います。
3つめの質問は、これに関連しているので続けていきます。
金融商品は次々と新しいものが出現しています。ところが、このような新商品はデータが少ないためにアセットクラスとして位置づけて計算することが出来ていません。例えば、東証REIT指数は2003年4月から公表されていますが、2007年6月をピークとする山形で1周期完了していませんからデータとして用いにくいと思います。ダイナミックに変化する金融の世界を、静的な統計処理で理解しようとすることには限界があるように感じています。
過去のデータが少ないものは、定量的な将来予測も難しいですよね。当然のことだと思います。これを予測するには、結局のところ定性的な予測(この先上がりそう、とか、下がりそうとか)を数字に置き換えて(じゃあ2%プラスにしとくか、とか、いや1%マイナスでしょうとか)予測するしかないのではないでしょうか。
結局、現代ポートフォリオ理論でアセットアロケーションを設計するにしても、基データをどのようにするのかは、ある程度恣意性が必要で、その恣意性にこそ将来を予測するための専門性が求められる、というのが僕の結論というか意見です。
実は、僕はそう思うからこそ「投資信託の道具箱|ファンドの海」で、計算の基礎となるすべてのデータ、期待リスクも、リターンも、相関係数も変更可能にしました。これらのパラメータは固定してしまったほうがずっとプログラミングが楽なのですが、恣意性を発揮して変更することも可能にしておかないと(変更する人はほとんどいないと思いますが)、本当に役に立つツールに発展していけないと思ったのです。
と、最後はちょっと宣伝ぽくなりましたが、こんなところで返答にさせていただきます。長々とお付き合いありがとうございました。
[関連エントリ]
・ アセットアロケーションの重要性と難しさを示す問答(1)
・ 現代ポートフォリオ理論を勉強中
・ 「投資信託の道具箱|ファンドの海」を公開します!
・過去の株式市場のデータ、どこから入手できる?
[関連カテゴリ]
・ C.アセットアロケーション
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sean.です。
「現代ポートフォリオ理論に基づく計算は、用いるデータに制約があるため限界がある。これで理想的な資産運用ができるといったものではない」ということですね。安心しました。ただ、このことが共通認識されているか、金科玉条の様に思っている人が多いのではないか、不安に思います。
現代ポートフォリオ理論に基づく計算を評価することが難しいのは、確率予測だからと思っています。例えば「500万円投資されたあなたの資産は、1年後の中心値は530万円ですが、430万円から630万円に入る確率が96%となっています。」という事前検討がなされ、実績として420万円になったします。「現状は40年50年に一度の最悪の市況だ。このままのアセットアロケーションで持ち続ければ、いずれ年率6%のところまで回復するに違いない」と考えることも出来れば、「投入データには十分金融情勢の変化を織り込めていなかった。データを変更してアセットアロケーションを見直そう」と考えることも出来ますね。
> 「投資信託の道具箱|ファンドの海」で、計算の基礎となるすべてのデータ、期待リスクも、リターンも、相関係数も変更可能にしました。
なるほど、優れものですね。実際に投資する際には、期待リターンやリスクを漠然と想定しているわけです。例えば、中国株は経済成長が●%と予測されているとか、今から下がってもこのあたりが目処かなとか。。。。こういった感覚を、数値に表す手順の様なものがあれば良いですね。
難しいのは相関係数です。過去に0.3の相関であったものを、相関が強まるだろうと思っても、0.4にすればよいのか、0.6か、あるいは0.9か。どうすればよいのでしょうね。
アセットクラスの分類も大事な問題です。
最近のNYダウとドル換算した日経平均はほとんど同じ動きをしています。つまり、NYダウと円ベースの日経平均の相関係数を計算してみても余り意味がなくて、実は為替レートの変動を計算しているにすぎないような状況になっています。その意味では、一つの資産クラスの銘柄分類にすぎないのかもしれません。いずれ、別の動きをするかもしれませんが。
『アセットアロケーションが重要である』とすれば、次に重要なのは、「意味のあるアセットクラス分類」ではないでしょうか。多種多様な現代の金融商品を理想的に分類して、それぞれの期待リターン、期待リスク、期待(?)相関係数の想定方法が明らかになって、現代ポートフォリオ理論に基づく計算によって、事前にリスクやリターンが明確になって、安心して投資することが出来ればいいですね。
「現代ポートフォリオ理論」など金融理論はやたらと難しい上に、実際にどうしたら良いのか分からないことが多いです。投信会社も分かっているのかなぁと感じることがままあります。科学的かつ実践的な議論の場があれば良いですね。ご存じでしたらお教えください。
素人の質問で恐縮です。アセットアロケーションについて、気になっていることがあります。お忙しいことと思いますが、時間がおありのときにでも教えていただけると助かります。どうぞよろしくお願いします。
1)(下の質問の前提として)目標とするアセットアロケーションは、年齢によって見直していくことが必要でしょうか。
2)もし、そうだとすると、目標アセットアロケーションを見直した際、その時点の資産について大幅なリバランスも必要になりますよね(?)。その方法を教えてください。
というのは、極端な例ですが、30歳で「日本株50:日本債権0:外国株40:外国債券10」というアセットアロケーションを目標に積立投資を行い、50歳で、「日本株10:日本債権50:外国株10:外国債券30」と目標を見直す場合、実際の資産でも、日本株・外国株を売るなどして減らし、日本債権・外国債券を買うなどして増やすという作業になります。この点、日本株・外国株といったリスクの高いものは、保有期間が長期になることで、リスクを減らせますが、ここで売却してしまえば、「保有期間が長期になる」ことのメリットを台無しにしてしまいます(直前に積立したものなどは、1年も経たずに売却ということになりますし)。
で、アセットアロケーションの見直しが必要なのはわかっていても、実際にどういう方法で資産をリバランスするのだろうか、という疑問がわきました。よろしくお願いします。
横レスですが・・・。
非常に勉強されている方なので↓の一言で分かるかと。
「同じ年齢でも、収入も資産も違うので、当然アセットアロケーションは異なる。年齢でぶった切って万人に同じアセットアロケーションを進めるのは愚の骨頂」by山崎元
上の例だと、49歳と11ヶ月から50歳になったとたんにリスクが取れなくなってしまうように見えます。あまりに不自然ですね。高齢になってリスクが取れなくなるのなら、徐々に積み立ての割合を変えれば良いだけです。
また、順調に資産を積み上げられたなら、資産の増えた高齢者の方がリスクをとれる場合もあります。高齢者=低リスク運用と決め付ける必要はありません。
資産運用はライブプランの一部でしかありませんので、お忘れなく。。
sean.さん
たとえば相関についてですが「最近は相関が強くなる傾向がある」といっても、それが今後も維持されるのか、それとも一時的な傾向であって将来は元に戻るのか、あるいはより相関が強くなるのか、いろんな考え方があります。
同様のことは中国株の今後の推移についてもいえるでしょう。
ポートフォリオ理論はその名の通り「理論」なので、将来の予測のような主観に左右される要素は排除しないと、基礎的なツールとして役に立ちません。
逆にイーノさんが
>恣意性を発揮して変更することも可能にしておかないと
>本当に役に立つツールに発展していけないと思ったのです。
と書かれているのは「実践的ツール」としても使えることを目指しているともいえますね。
そこでたとえば相関係数などを自分なりの考えで修正するのは自由ですが、それはあくまで主観的予測なので「どれくらいにすればいいか」といったことは自分の胸に聞くしかなく、正解はありません。
まあ「この分野が上がりそうだ、こっちは期待できない」といった漠然とした予測よりは、自分の予測を加えたポートフォリオとして考えた方が多少は信頼できそうだし、なんだか「もっともらしい」ので安心できるかも。
でも結局は自分の主観を加えている以上、予測が外れても自分の責任です。
だからといって主観を排除して過去のデータだけを元にポートフォリオを作ったとしても、やっぱり自分以外に責任を取る人はいないんですけどね。
アルビレオさん、ご意見ありがとうございます。sean.です。
誤解されているように思います。私は、「自己責任である」ことを否定しておりませんし、データの修正についても、「どの程度にすればよいか」ということを質問しているわけでもありません。アセットアロケーションの答えを求めているのではなく、アセットアロケーションを導き出す方法について質問しました。
中国株云々といったのは、私の場合、外国株式を購入する際にその国の成長率や株価の動向などを参考にして将来を判断をしています。これは、すなわち期待リターンや期待リスクに相当するものだと思います。そこまでは自己責任ですが、それを「データに置き換える方法」については、適当に数値を入れるのではなくて、「チェックポイントや手順」のようなものがあったらいいなと思います。しかし、リターンとリスクについては手がかりを思いつくのですが、相関係数については思いつきませんので、『どうすればよいのでしょうね』と投げかけさせていただきました。「リターン、リスク、相関係数を予測する方法」というテーマなら、理論的な検討をする価値は十分あると思います。主観的であっても、主観量をデータ化する研究もなされていることですから。
◆-◆-◆
ところで、アルビレオさんが『ポートフォリオ理論はその名の通り「理論」なので、将来の予測のような主観に左右される要素は排除しないと、基礎的なツールとして役に立ちません。』といわれることの真意がよく分からないので、質問します。
ここで言われている「ポートフォリオ理論による基礎的なツール」とは、(1)特定のアセットアロケーションに関して、全体としての期待リターンや期待リスクおよび効率的フォロンティア上の位置づけを計算する計算式や手順(フレームワークといったらいいのでしょうか?)を指しているのでしょうか?(2)それとも、そのフレームワークに投入する基データも含めておられるのでしょうか。『主観に左右される要素は排除』すべきとありますから、フレームワークと基データとを含めて捉えておられるのでしょうね。
投入データについては、イーノさんは、『基データをどのようにするのかは、ある程度恣意性が必要で、その恣意性にこそ将来を予測するための専門性が求められる、というのが僕の結論というか意見です。』と述べておられます。私も全く同意見です。アルビレオさんはどう思われますか?
フレームワークについては、経済物理学の立場から、「前提としている正規分布は経済現象を表していない」との批判があります。これはこれで別次元で注視する必要があります。
◆-◆-◆
私は、「現代ポートフォリオ理論」には限界もあるが、それを認識した上で活用したいと思います。実践する上での課題は、基データだけでなく、前にコメントさせていただいた評価の問題やアセットクラス分類の問題などがあると思っています。
「あとは自己責任で」と冷たくしないで、さらに議論を深めることが出来たらいいなと思っています。
sean.さん
>そこまでは自己責任ですが、それを「データに置き換える方法」
うーん、呼んだ限りでは誤解してはいなかったように思います。
たとえばテクニカル分析だと同じデータを元にしていてもたくさんの手法が存在するように、「データに置き換える方法」にも決まったやり方があるわけではなく、自己責任でやるしかないんです。
「そこまでは」で自己責任が終わっちゃうものではありません。
ポートフォリオ理論をどの程度あてにするかも含めて、全部が自己責任。
>「チェックポイントや手順」のようなものがあったらいいな
自己流で考案した人ならいくらかいるでしょうけど、広まっているようなものはないんじゃないですかね。
相関係数は時系列データがあればエクセルなどを使って比較的簡単に出せるので、サンプリング区間を変えることで変化の傾向を見るといったことは可能です。
でも日本やアメリカの株式指数は比較的楽に入手できるでしょうけど、債権やらの指数履歴はどこにあるのか知りません。
ましてやREITや新興国だと、指数自体の歴史が浅いですしね。
イーノさんもそこで困ってるわけでして。
>基礎的なツールとして役に立ちません。』といわれることの真意がよく分からない
「役に立ちません」という言い方は断定的すぎたと思いますが、主観を排除した中立的な指標を用いることを重視するなら、何十年といった十分に長い過去のデータを採用するぐらいしかふさわしい数字を当てはめる方法がないわけです。
一応イーノさんは不特定多数向けのツールとして公開しているわけで、初期値としては中立的なものを採用しておくのはごく妥当なところでしょう。
「自分なりの予測を加えてパラメータを調整してみました」というのもありといえばありですが、そういうのは使う人しだいにしておくと。
>将来を予測するための専門性が求められる、というのが僕の結論というか意見です。
>アルビレオさんはどう思われますか?
専門家でも予測を外すことはしょっちゅうあるし、「プロのアクティブ運用は平均すればインデックスに勝てない」というのも現実なので、専門性を身に着けたとしてもそれがプラスにつながるかは五分五分です。
うまくいく可能性は常にあるけどうまくいかない可能性も同じくらい、「専門知識などによる期待リターンの上乗せ」はあったとしてもごくわずかで、コスト的に割に合わないと思いますね。
ここで言うコストとは、お金というよりどちらかといえば労力という意味です。
アルビレオさんへ
sean.です。
> 「データに置き換える方法」にも決まったやり方があるわけではなく、自己責任でやるしかないんです。
> ポートフォリオ理論をどの程度あてにするかも含めて、全部が自己責任。
その通りですね。『そこまでは自己責任ですが』と書いたことで、混乱してしまったのであればお詫びします。
でも、「データに置き換える方法」や「ポートフォリオ理論をどの程度あてにするか」が自己責任であることと、それについて問答をすることとは矛盾しませんよね。私の最初のコメントは、イーノさんのお答えに賛同し、さらに私の意見を述べ、また質問しているのであって、自己責任か否かとは無関係だと思います。アルビレオさんの自己責任であるとの主張は、何を意図されているのでしょうか。
その他の点については、ご意見として拝聴させていただきます。
sean.さん
私が言いたかったのはあくまで「決まったやり方などない」ということであって、自己責任云々はその話の流れの中で触れただけで、それほど深くは考えていません。
だから
>自己責任であるとの主張は、何を意図されているのでしょうか。
と言われても、こちらも困ってしまいます。言いたかったのはそこじゃないんだから。
アルビレオさんへ
sean.です。
『責任』という言葉を使われたので「自分で解決すべき問題を自覚せず、他人に回答を求める愚かな行為」と主張されているのかと感じておりました。そうではないとのことですので了解です。
「決まったやり方などない」と断言されていますが、ベストのやり方ではないにしても、よりよいやり方はあるのではないでしょうか。イーノさんのエントリから引用すると『年金積立金管理運用独立行政法人のデータにも、消費者物価指数の推計値として1%が期待リターンには上乗せされているんです』とのことです。私にとって、この情報は非常に重要です。1%が正しいかどうかは別として、年金運用でも基データに推計値を入れているのですね。どういう風に織り込んでいるのだろうか、とても関心があります。年金積立金管理運用独立行政法人であれば、かなり論文が公表されているので、機会があれば当たってみたいと思っています。理解できるかどうか自信はありませんが。。。
私が提起したことは、現代ポートフォリオ理論に基づくアセットアロケーション計算を実際に行いそれに基づいて投資しようとすると、すぐにぶつかる問題です。この計算方法はすでに実用化され、イボットソンあたりから有料のデータが提供されているまでになっていますから、多くの投資家での実施例があり、同じような問題意識があるのではないかと思います。理論立てているか、公表しているかは定かではありませんが、何らかの工夫がされているに違いないと思います。如何せん市井の一投資家である私には、そのような情報に接するチャンスが少なく、あったにしても租借できる能力がありません。ネット上で情報や意見の交換が出来たら有り難いなぁと思っています。
イーノさんの著作、並びに私の拙い質問へのご回答に、改めて感謝いたします。ありがとうございました。
sean.さん
>ベストのやり方ではないにしても、よりよいやり方はあるのではないでしょうか。
困ったことに、これにイエスと言えないんですよね。
テクニカル分析がいい例です。
プロでこれだけを唯一の指標にしているという人はまずいませんが、活用して利益を上げている人もいる一方で、まったくのデタラメだと考える人もいます。
このように何が「よりよいやり方」なのか、いつまでたってもわからない世界なんですよ。
現代ポートフォリオ理論のように「実際に利用するかはともかくあからさまに否定する人はほとんどいない」程度のコンセンサスが得られているのはほんの一握りです。
その他の大多数は、どの程度信頼できるのか、それによって本当に利益を上げることができるのか、専門家の間でも評価がバラバラだと考えていいです。
年金運用などのデータを使うのも、相関係数などのデータを公開しているのは他にあまりないことや、公的機関だからあまり偏ったデータの取り方や計算はしていないだろうと考えられること、自分で計算しようとすると元になる生のデータは膨大で、解釈の余地がある部分をどのように扱うかなど手間がかかる上に主観が入り込みやすいといったことから、客観性とお手軽さから利用しているといっていいと思います。
それにまじめに計算式を考えて当てはめてみたら、少数以下4桁とかのわずかな差しか出ないかもしれません。
難しく考えたものが「なんとなく適当に入れてみた数字」より信用できるのかといえば、かなり怪しいです。
とりあえず相関係数などを0.1刻みぐらいで変化させてみて、それらの数字によって分布図がどう変わるかを感覚的に掴んでおいてから、自分がもっともらしいと考えるパラメータを入れてみるだけでもいいんじゃないかと思います。
もうちょっと具体的なアイディアもないわけじゃないですが、それを実行するには年金運用機関が公表している「計算結果」ではなく、その元となった各指数の履歴データが欲しいところですね。
REITや中国株のようにあまり長い期間の過去データがないものは、独自に元データから計算しなきゃいけませんから。
sean.さん、アルビレオさん、建設的な議論ありがとうございます。ちょっとパソコンにさわれない環境にいたのでフォローできなくてすいませんでした。
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