2008年10月13日
勝間和代さんのアセットアロケーションは本当にお勧めか、検証してみた
勝間和代さんといえば、執筆したビジネス書が売れに売れているいま人気の作家。僕も一冊持っています。その彼女が勧めるアセットアロケーションは、4つのインデックス投資信託の組み合わせです。どんなものでしょうか?
彼女のアドバイスは、ビジネスマン向けのWebサイト「BusinessMedia誠」に掲載されている記事「勝間和代氏が勧める、お金に働いてもらう金融商品(後編) 」で読めます。ポイントを引用してみましょう。
ノーロードのインデックス投信といっても10~20種類あるため、勝間氏は4つのインデックス投信を勧めている。
TOPIXまたは日経平均など日本株式のインデックスファンド
日本債券のインデックスファンド
海外株式のインデックスファンド
海外債券へのインデックスファンド
グラフも引用します。
4つの資産に対して同じ比率のシンプルなアセットアロケーションが勝間さんのお勧めするアセットアロケーションです。
では、このアセットアロケーションは本当に優れたものなのか、調べてみることにしましょう。それには、この夏、僕の情熱を注ぎ込んで作ったツール「アセットアロケーション分析」に登場してもらいます。
まず、このアセットアロケーション分析の画面から、4つの資産クラス、日本債券、日本株式、外国債券、外国株式に同じ額の金額を入力します。ここでは10万円ずつにしてみましょう。
すると、過去のデータを基にして計算された期待リターンとリスクが自動的に表示されました。このアセットアロケーションの場合、期待リターンが4.08%、リスクが9.61%、ということになるようです。
具体的には、1年後に40万円が41.6万円になることが期待され、一方で95%の確率で34.10万円から49.16万円の範囲のいずれかの金額になることが分かります。
年4%程度なら、まあ順当なリターンといえそうです。
そして、このアセットアロケーションが本当に効率的なものなのかどうかが分かるのが、投資機会集合のグラフです。「実行」ボタンを押してみましょう。すると弓なり状のグラフが表示されました。その中の赤い点が、このアセットアロケーションの位置です。
このグラフの簡単な見方は、赤い点が点の集合の上端に位置しているかどうかを見ることです。上端にあれば、リスクに対して効率的にリターンを追求していることを意味しています。どうやら勝間さんのアセットアロケーションは上端に位置していますから、効率的なものになっているようですね。
勝間さんのアセットアロケーションは本当に(僕が計算できる範囲では)効率的でお勧めだということが検証できました。
こうやって専門家のアドバイスが本当にお勧めなのかどうか、「アセットアロケーション分析」を使うことで、誰でも簡単に検証できます。また、このツールが標準で採用しているパラメータは年金積立金管理運用独立行政法人が発表しているものですが、もし独自のパラメータがあるのなら、すべてアセットアロケーション分析の画面から入力して計算できます(画面上で計算上意味のあるすべての数字は書き換え可能で、即座に計算とグラフに反映されます)。
これからもときどき、こうやって専門家のアドバイスを検証してみたいなと思います。みなさんもぜひ、このツールを活用してみてください。
[関連エントリ]
・ 「投資信託の道具箱|ファンドの海」を公開します!
・ アセットアロケーションの重要性と難しさを示す問答(1)
・ アセットアロケーションの重要性と難しさを示す問答(2)
・ アセットアロケーションのサンプル集(投資信託のガイド|ファンドの海)
・ アセットアロケーションを考える前に考えること(投資信託のガイド|ファンドの海)
[関連カテゴリ]
・ C.アセットアロケーション
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こんにちは。
イイノさんのHPを拝見させていただいてた者です。
とてもわかり易いHPで感激しております。
ところで、1点質問がありメールさせていただきました。
アセットアロケーション分析で使用している、リターン、リスク、相関係数は
イイノさんがご紹介されてるように、
年金積立金管理運用独立行政法人の「資料1_基本ポートフォリオの検証について」
のデータを使用されてます。
そこで質問なのですが、
リスクと相関係数は新しく推計した値(1973-2007のデータ使用)を採用していて、
リターンは「現行ポートフォリオでの期待リターン」を採用し、
「今回検証での暫定推計期待リターン」(これが、新しく推計した値だとおもうのですが)
を採用しなかったのはなぜなのですか?
もし、深い理由などありましたらご参考に教えていただけますようお願いいたします。
以上、夜分ぶしつけな質問で恐縮ですが、どうぞ宜しくお願いいたします。
アセット勉強中の者さん、こんばんは。コメントをいただいて、あらためて見直してみました。たしかにそうなってますね....。
理由は、深い意味はないです。暫定推計期待リターンの表を見逃して、各項目に書いてある原稿ポートフォリオのリターンのほうに注目してしまったためだと思います。ご指摘ありがとうございました。どこかのタイミングで修正したいと思います。
早速のご回答ありがとうございました。
アセットアロケーションってとても大切だと思います。イイノさんのHPも参考にさせていただきながら、私もこれからも一生懸命勉強します。ありがとうございました。
ところで、ご存知かもしれませんが、下記に示す位置にあるpdfファイルに1991-2007までの国内・国外の株式、債券の投資収益率のデータがあります。イイノさんが市場のインデックスデータを探されてるようなのでご参考までにお伝えします。
企業年金連合会→企業年金連合会についてのページ→統計資料→資産運用実態調査の結果と資産運用に関する統計資料→2007年度の投資環境(pdfファイル)
また近いうち
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