2009年03月15日

連載:リスク資産の複利確率(11)~連続複利とは? 無限に連続する複利の金利を求める

連続複利とは何でしょう? 長期の金融商品のリターンとリスクを調べていたらこの言葉にぶつかりました。これを理解しないことには先に進めそうにありません。ということで、この連続複利について調べてみることにしました。

検索してみると連続複利についての説明はいくつか出てくるのですが、僕にとっていちばん分かりやすかったのが「金融数理入門」の「連続複利と極限値」という解説でした。

ここで僕がうだうだと説明するよりも、もしかしたらそっちの説明を直接読んでもらったほうが正確かもしれませんが、シロート代表として僕なりに、さらに噛み砕いて連続複利とは何かを説明してみたいと思います。

連続複利とは何でしょう? ひとことでいえば「1秒の利息でも正確に計算できる魔法の数字の計算法」です。

例えば、ある定期預金が年利10%だったとしましょう。この定期預金に1日だけ預けて1日分の利息をもらったとしたら、利息はいくらでしょう? 1時間だけ預けたら? 1分、1秒だけ預けたら利息はいくらになるでしょうか?

連続複利を使うと、こうした利息でもちゃんと計算できるのです(もちろん実際にこんなに短時間の利息を払ってくれる銀行はありませんけれど)。

じゃあ実際に計算してみることにしましょうか? 連続複利ってやつを。

いきなり1秒の利息を計算するのは無理なので、半年と3カ月の利息を求めることにしましょう。

年利10%の定期預金があるとします。1万円を1年預けると利息は1000円ですね。

では半年だけ預けたときの利息はいくらになるでしょうか?

1年預けたら利息が1000円。
半年預けたら半分だから利息が500円。
3か月預けたら4分の1だから利息が250円。

簡単ですよね! でも本当でしょうか?

半年で1万円に利息が500円つくのなら、半年の金利は5%ですね。

1万円×105%=1万500円

もう半年たてば、また5%の金利がつきますよね?

1万500円×105%= 1万1025円

1年で利息が1025円になりました。いやちょっと待てと。年利10%のはずだから、1年の利息は1000円にならなくてはいけないのに、それを超えています。

これは当然と言えば当然です。半年を2回繰り返したら複利で増えるのですから、年利10%だからといって単純に半分の5%を半年の金利だと考えてはいけないんですね。じゃあ半年の金利はいくらならいいのでしょう?

1万円×(1+半年の金利)×(1+半年の金利)= 1万1000円

この式を解けばいいわけです。

1万円×(1+半年の金利)^2 =1万1000円
(1+半年の金利)^2 = 1万1000円 / 1万円
1+半年の金利 = √1.1
1+半年の金利 = 1.04880885
半年の金利 ≒ 4.880%

ってことで、年利10%に等しい半年の金利は4.880%だと計算できました。1年の金利に直せば2倍にして9.76%。年利9.76%の半年複利が、年利10%の単利に等しいことになります。

同じように、3カ月を4回預けて1年の金利が10%になる3カ月の金利を求めてみましょう。

1万円×(1+3カ月の金利)^4 = 1万1000円
1+3カ月の金利 = 4√1.1
3カ月の金利 ≒ 2.411%

ってことで、年利10%に等しい3カ月の金利は2.411%だと計算できました。1年の金利に直すと、4倍して9.644%になります。年利9.644%の3カ月複利が、年利10%の単利に等しいことになります。

こうやっていくと、どんどん細かい期間に対して、年利10%の単利と等しくなる金利を計算することができます。

ここまでの過程を式にしてみましょう。年利10%のとき、3カ月複利で4回預けると年利10%に等しくなる金利2.411%をさきほど求めました。これを式にしてみます。

(1+2.411%)^4= (1+10%)

この式を少し変えてみます。^4というのは、3カ月が4回で1年12カ月に等しくなるからですよね。この4をn回複利のnに変えてみます。

(1+2.411%)^n = (1+10%)

とすると、2.411%×nを年利rとおくと、年利rのn回複利が、年利10%の単利に等しくなりますよね。で、2.411%=r/nと書けます。

(1+r/n)^n = (1 + 10%)

で、基となる年利10%をRとしておきます。

(1+r/n)^n = (1 + R)

この式を展開していきましょう。

(1+r/n) =n√(1 + R)
(r/n) = (n√(1 + R))- 1
r = n ×((n√(1 + R))- 1)

この式を使えば、年利Rに等しくなる、n回複利の年利rを求めることができるんですね。

で、ここからは想像の世界ですが、n回複利の回数をどんどん増やしたらどうなるでしょう? 例えば、nを365にすると、1日複利の金利rが求められますよね。nを365×24にすると1時間複利の金利rが、nを365×24×60にすると1分複利の金利rが求められます。

いろいろ計算してみましょう。

年利10%
半年複利=9.76%
3か月複利=9.644%
1日複利の年利= 9.53226%
1時間複利の年利= 9.53106%
1分複利の年利= 9.53101%

ではnを無限大にしたらどうなるでしょう? 1秒どころか一瞬複利の年利を求めるのです!

実はその式も、上記の式のnを無限大にすると以下の式になります。

r = log(1+R)

だそうです。どうしてこういう式になるのか僕には説明できませんが、極限値という考え方などを用いて変形するとこうなるそうです。

そしてこれが「連続複利」の金利です! 無限に連続する複利の金利だから「連続複利!」なんだと思います。

長くなったので、この続きは次回に。次回、この連続複利の特徴をみていきます。

それから、あくまでシロートの説明なので、もしここまでの説明で間違いがあればご指摘を。

この連載のバックナンバー
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yonet (2009/03/17 20:49:06)

そもそも確率統計などの基礎的な勉強もして下さい…でないといつまでたっても、こうゆうレベルからの脱却は難しいですよ。

MKMK (2009/03/17 23:40:17)

>yonetさん

確率統計に詳しくない普通の読者にとって、とても役に立つ良記事だと思いますよ。

蛇足ながら、yonetさんは日本語の基礎的な勉強をしてください。

誤)こうゆう

正)こういう

滑稽だったので、つい横やりを入れてしまいました。失礼しました。

ファンドの海管理人(イーノ) (2009/03/18 13:21:50)

MKMKさん、コメントありがとうございます!
yonetさん、ぜひ建設的に「ここが違ってる」といったご指摘だといいのですが。

COLE (2009/03/25 9:21:30)

> ぜひ建設的に「ここが違ってる」といったご指摘だといいのですが。

ちょっと荒れ気味ですので、私に出来る範囲で建設的に書きますと、
内容そのものに間違いはないです、ただ基礎知識がないので凄く遠回りなさっているな、とは思います。
例えて言うと、5つのことを学ぶのに
10日間基礎知識を勉強すれば一つ学ぶのに1日、5つに5日、全部あわせて15日で学べるのに、
基礎知識を勉強なさらないまま一つ一つ学ぼうとなさっているので、1つ学ぶのに5日、5つで25日かかるだけでなく、その5つの関連も見えていない、という感じです。

そうなさる動機は理解できます。
前者だと、基礎知識を学ぶ間は「これが僕の知りたいことと、どういう関係があるの?」ということが見えません。後者だと、特に学ぶ課程をブログに書くと、基礎知識が無い人にとってもわかりやすいです。
でも後者だと、見通しが効かないので、5つ学んだ後に次に何を学ぶかも見えてこないし、次に一つ学ぶにもまた5日間かかります。

前回の連載で、私が高校理系程度の数学と大学教養課程程度の確率・統計があれば分かります、と書いたのですが、イーノさんは書店の、高校・大学向けの参考書コーナーの本ではなく、金融のコーナーの本をブログに書かれましたよね。
金融の世界で言われていることが正しいか確かめようとなさっているのですから、金融の本には答えは書いてないです。基となる基礎知識から身に着けなければなりません。

この連載をきっかけに、急がば回れ、基礎知識の必要性を理解して頂いて、出来ることなら人気ブログのこちらで基礎知識の重要性も書いて頂けると、個人投資家の将来は明るくなると思います。

ファンドの海管理人(イーノ) (2009/03/27 0:33:28)

COLEさんこんばんは、コメントありがとうございます。
おっしゃるとおりで、どうしても目の前にある疑問を解きたいと、そこにばかり視点がいくのは素人まるだしですね。見通しきかないです、本当に。どこまで僕が基礎の重要性を伝えられるかわかりませんが、ご指摘の点は受け止めさせていただきます。

アルビレオ (2009/04/11 15:01:27)

コメントがずいぶん遅くなりましたが…
対数関数やそれにまつわる一連の公式はもともと純粋数学ではなく複利計算を簡単に行うために生まれたそうなので、イーノさんはある意味歴史をトレースしているようなものであって「正当な遠回り」じゃないかと思いますよ。

COLE (2009/04/12 18:59:09)

アルビレオさん
はい、勉強の方法に、唯一無二と言える方法があるわけではありません。
特に、対数関数を一通り理解したうえで「何故このようなものを考えたのだろう」と興味を持たれた方にとってはこのように歴史をトレースする方法は有効だと思います。

但し、対数関数に限らずどのような理論も、必要性を認識した数多くの人が挑戦して苦労の末に開発されたわけで、歴史には開発に成功した人しか残りませんが、その背後には挑戦したけれど報われなかった数多くの人がいます。
ゴールの理解が不十分なままにトレースに挑戦すれば、挑戦したけれど報われなかった数多くの人の誰かと同じ道をトレースする確率が高くなります。
それで私はイーノさんに、高校理系数学の教科書に載っている程度のゴールをまず勉強なさることをお勧めしています。



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