2009年08月 8日
連載:リスク資産の複利確率(28)~最終回「総集編」
2月から半年近く連載を続けてきた「リスク資産の複利確率」も今回が最終回です。最終回ではこれまでを振り返りつつ総集編をお送りします。半年間の連載のダイジェストです。
■問題提起
投資信託などの資産運用では、いま運用している資産の期待リターンとリスクがどれだけなのか、ということがしばしば問題になります。「自分に合ったリスクに抑えておきましょう」とか「そのリスクの範囲で期待リターンはできるだけ高い方がいい」とか、そういうことです。
そして、期待リターンとリスクは通常、1年間という期間で計算されます。例えば「1年間の期待リターンが15%、リスクが20%のポートフォリオ」などと。僕の作ったツール「アセットアロケーション分析」でも、アセットアロケーションを組み合わせることによって、期待リターンとリスクがどうなるのか、ということを過去のデータに基づいて計算することができます。
しかし僕たちは長期投資家です。1年後の結果だけでなく、20年後どうなるかが知りたいと思うのです。そこで2つの疑問が浮かび上がってきます。
疑問1)20年間資産運用をし続けたら、よく言われているように資産は複利で増えてくれるのだろうか?
疑問2)20年間資産運用をし続けたとき、その20年間の期待リターンとリスクはどうやって計算すればいいのだろう?
例えば、僕が自分の運用資産を期待リターン15%、リスク20%に維持するようにリバランスしながら運用し続けるとします。こうして20年間運用し続けたら、20年後には15%複利の結果が得られるのでしょうか? その確率はどのくらいですか? そしてすごく損をする確率はどれくらいでしょうか? 大儲けする確率はどれくらいでしょう? そういったことを確率として計算したいのです。
しかし、いくら専門的な書籍などを調べても答えは載っていませんでした。自分で調べていくしか方法がなさそうです。
早くも帰ってきた! 連載:リスク資産の複利確率(1)~ 連載の目的と前提
連載:リスク資産の複利確率(2)~ 参考書に載っている計算式
連載:リスク資産の複利確率(3)~ リターンとリスクのグラフ化
連載:リスク資産の複利確率(4)~ 収益率が正規分布に従うということ
連載:リスク資産の複利確率(5)~ 正規分布なシミュレーションの設計
連載:リスク資産の複利確率(6)~ 正規分布なシミュレーションをExcelで実行
連載:リスク資産の複利確率(7)~ 食い違う計算結果とシミュレーション結果の「謎」
■金融工学では何といっているか?
調べていくと、現在の金融工学では次のような前提があることが分かりました。
金融商品の価格が収益率が正規分布に従うのは近似であり、より正確には連続複利年率の収益率が正規分布する
これを手がかりにすることで、金融商品の期待リターンとリスクを何年後であっても計算できる式ができそうです。
連載:リスク資産の複利確率(8)~ 謎を解くカギは「B方式」にあるらしい
連載:リスク資産の複利確率(9)~収益率の変化をシミュレーションするという
連載:リスク資産の複利確率(10)~どうして収益率を足しているのだろう?
連載:リスク資産の複利確率(11)~連続複利とは? 無限に連続する複利の金利を求める
連載:リスク資産の複利確率(12)~連続複利を計算してみた
連載:リスク資産の複利確率(13)~連続複利の世界では掛け算が足し算になる!
連載:リスク資産の複利確率(14)~ 収益率を連続複利だと想定したシミュレーション
連載:リスク資産の複利確率(15)~ もういちどこの連載の目的を確認する
連載:リスク資産の複利確率(16)~新たな考え方でシミュレーションを作ることにした
上記の前提を式として表すカギは連続複利年率でした。連続複利年率をひとことでいえば「1秒の利息でも正確に計算できる魔法の数字の計算法」(連載11回)によって求められた一瞬の金利です。
この魔法の計算法とは次の公式です。連続複利年率をrとしたとき、それは年利Rを基にして次の公式で求めることができます。
連続複利年率r = loge(1+年利R)
eはネイピア数と呼ばれる特別な数で、2.71828…という数字です。
この式を変形すると、次のようになります。
(1+年利R)=e連続複利年率r
この式から、数式を解いていくことができるようになりました。
■N年後の期待リターンとリスクの計算法が分かった
金融工学の前提として「金融商品の価格は、連続複利年率の収益率が正規分布する」ものだとすると、期待リターンとリスクによって決まる1年後の価格分布は、以下の式の「連続複利年率r」が正規分布することで表すことができました。
1年後の価格分布=e連続複利年率r ←これが正規分布する
つまりこうです。
1年後の価格分布=e正規分布(平均μ,標準偏差σ)
すると2年後の価格分布は次の式で表せます。
2年後の価格分布=1年後の価格分布 × e正規分布(平均μ,標準偏差σ)
= e正規分布(平均μ,標準偏差σ)+正規分布(平均μ,標準偏差σ)
ここから正規分布の足し算の公式により、以下の公式を導くことができました。
N年後の価格分布=e正規分布(平均μ×N,標準偏差σ×√N)
ここででてきたe正規分布(平均μ,標準偏差σ)とは、対数正規分布を表す式でもあります。そして平均μ、標準偏差σは、元々の金融商品の期待リターンをm、リスクをsとしたとき、以下の式で求めることができます。これは正規分布の平均と標準偏差を対数正規分布としての平均と標準偏差に変換する式です。
平均μ = LN(m)-LN((s/m)^2+1)/2
標準偏差σ = SQRT(LN((s/m)^2+1))
また、これらの公式を基に、N年後の(正規分布としてみたときの)期待リターンとリスクも次の式で求めることができます。
N年後の期待リターン = EXP(μ1+(σ1^2)/2)
N年後のリスク = SQRT(EXP((2*μ1)+σ1^2)*(EXP(σ1^2)-1))
連載:リスク資産の複利確率(17)~シミュレーションのために連続複利年率を求める
連載:リスク資産の複利確率(18)~連続複利年率のリスクの求め方のはずが、どんでん返しに!
連載:リスク資産の複利確率(19)~シミュレーションのための連続複利年率とリスクの求め方とは?
連載:リスク資産の複利確率(20)~シミュレーションの作り直し3度目の正直
連載:リスク資産の複利確率(21)~新しいシミュレーションを試してみる
連載:リスク資産の複利確率(22)~最も重要な公式、N年後の確率分布を求める式を記す
■複利で増える可能性は明らかに半数未満である
金融商品の1年後の期待リターンとリスクが分かるとき、その金融商品のN年後の価格分布を示す公式が分かりました。
N年後の価格分布=e正規分布(平均μ×N,標準偏差σ×√N)
そしてこれによって金融商品の価格分布は対数正規分布である、ということも分かりました。実はここから直ちに「金融商品が年ごとに複利で増えていく可能性は、明らかに半数未満である」ということが分かります。
上記は、期待リターン10%の対数正規分布のグラフです。期待リターン10%ですから、1年後の期待値は1.1倍になっています。グラフをみてもそのようなことが読み取れるはずです。
対数正規分布は左右が非対称になっています。このグラフをみると、1年後に運用資産が0になってしまう確率はほとんどゼロ。しかし0.8倍あたりになる確率がもっとも高くなっています。そして、確率は低いですが2倍になる確率もあり、もっと低い確率ですが3倍になる可能性もゼロではありません。
期待値が1.1となるのは、ここで見られるように非常に低い確率ではありますが、運用資産が数倍になる確率があるため、全体をならすと平均が1.1になる、ということです。
そして上記のグラフに示したように、対数正規分布には期待値のほかに、中央値、最頻値の3つの点があります。
最頻値:もっとも起こりやすい値
中央値:全体のなかの中心に位置する値(中位数ともいいます)
平均値:全体の平均値
実は左右の確率が50%になる点が中央値です。そして平均値はその右にある、ということは、平均値以上になる確率というのは明らかに50%以下であるといえます。
1年後に期待リターン以上に増える確率が50%以下であるということは、2年目に期待リターン以上に増える確率は、さらにそれを下回る、ということは容易に想像できるでしょう。つまり、投資信託では複利以上で運用資産が増える確率というのは明らかに半数未満なのです。「長期でみれば、リスクのある金融商品は複利で増えることが期待できる」というよくある説明は、誤りなのです。
連載:リスク資産の複利確率(23)~複利で増える可能性は明らかに半数未満である
■リスクはばらつきを増やすだけでなく、リターンをむしばんでいく
リスクが高い金融商品は、単に結果がばらつくだけと思われがちですが、実はそうではなく、リスクが高くなるほどリターンが低くなる確率が増すことも分かりました。
対数正規分布の3つの点、最頻値、中央値、平均値は、対数正規分布の期待値と標準偏差がそれぞれμ、σで与えられたとき、以下の式で求められます。
対数正規分布=e正規分布(μ,σ)
であるとき、
最頻値 = e(μ-σ^2)
中央値 = eμ
平均値 = eμ+(σ^2)/2
です。最頻値の値に注目しましょう。N年目の最頻値は以下の式で表せます。
N年目の最頻値 = eN×(μ-σ^2)
上記の式で分かるとおり、σが大きければ大きいほど、N年目の最頻値は小さくなります。そのσは、基の金融商品の期待リターンをm、リスクをsとするとき、以下の式で求められることはすでに示しました。
標準偏差σ = SQRT(LN((s/m)^2+1))
上記の式で分かるとおり、sが大きくなるほどσが大きくなることがわかるでしょう。つまり、金融商品のリスクが大きくなればなるほど、最頻値は小さくなっていきます。リスクが大きいほど、結果のリターンが低くなる確率が高くなるのです。グラフで見てみましょう。
期待リターン5%、リスク30%のグラフ。年を追うごとにピークが左へ移動しています。すなわち、いちばん起きやすい確率が、どんどん損をすることになっているわけです。そして年を追うごとに損の大きさが増えています。
続いて期待リターンは5%のまま、リスクを20%にしてみます。すると、ピークがほとんど動かなくなりました。つまり、いちばん起きやすいのは元本のままほとんど変わらない、ということになります。
そして期待リターンは同じく5%のまま、リスクを10%にしたところ、ピークは右へ移動するようになりました。つまりいちばん起こりやすいのは、資産を増やすことだ、ということになります。
同じリターンなのに、リスクが低くなればピークが右へ移動し、儲かる可能性がより高まるようにみえます。
このように、同じ期待リターンでもリスクが大きくなれば損をする可能性が高まり、リスクが小さいほど儲かる可能性が高まるのです。これによって、期待リターンが高くとも、必要以上に大きいリスクをとってしまうよりも、期待リターンは小さいけれどもリスクも低い、という金融商品の方が有利だという状況が発生します。
どのような期待リターンとリスクの組み合わせが有利であるかは、各記事を見て計算してみてください。
連載:リスク資産の複利確率(24)~リスクは結果のバラつきだけでなく、やはり危険度を表している
連載:リスク資産の複利確率(25)~期待リターンに対して、これ以上とってはいけないというリスクの上限がある
連載:リスク資産の複利確率(26)~長期投資で儲かる確率が上昇するかどうかは、リスクの大きさがカギ
連載:リスク資産の複利確率(27)~これが合理的なリスクの取り方ではないのか!
■謎は解けた…
最初に抱いていた2つの謎は、ついに解けました。運用資産は複利で増えるのか? 答えは「ノー」。20年後の期待リターンとリスクはどうなる? 答えは「計算できる公式を見つけた」でした。こうし問題を少しずつ自分の力で解いていくのは非常に面白い経験でした。本当に僕はこの問題を解くことに熱中していました。
この連載が始まったのは2月でしたが、その前に、同じ問題に挑戦して解けずに挫折した連載があります。それを始めたのが昨年11月のことでしたから、10カ月近く、僕はこの問題にはまっていたことになります。
しかし僕は思います。長期投資家にとって、このような大事な情報が書籍にも雑誌にも載っていないどころか、専門書を見てもまったく解説されていないのは変だと。
金融工学の本に載っているのは、オプションの価格の計算法とか、1年後のリスクの見積もり方など短期の投資に役立つものばかりです。
長期で資産運用する場合のリスクはどうなっているのか? どう回避すればいいのか? どの程度までリスクをとっていいのか? こういった点ももっと追求されてしかるべきでしょう。この連載を基礎にして、さらに長期投資家のためのさまざまな理論や情報提供が進化していくことを期待しています。
最後に、長期にわたってお付き合いいただいたみなさま、ありがとうございました!
この連載のバックナンバー
・ 早くも帰ってきた! 連載:リスク資産の複利確率(1)~ 連載の目的と前提
・ 連載:リスク資産の複利確率(2)~ 参考書に載っている計算式
・ 連載:リスク資産の複利確率(3)~ リターンとリスクのグラフ化
・ 連載:リスク資産の複利確率(4)~ 収益率が正規分布に従うということ
・ 連載:リスク資産の複利確率(5)~ 正規分布なシミュレーションの設計
・ 連載:リスク資産の複利確率(6)~ 正規分布なシミュレーションをExcelで実行
・ 連載:リスク資産の複利確率(7)~ 食い違う計算結果とシミュレーション結果の「謎」
・ 連載:リスク資産の複利確率(8)~ 謎を解くカギは「B方式」にあるらしい
・ 連載:リスク資産の複利確率(9)~収益率の変化をシミュレーションするという
・ 連載:リスク資産の複利確率(10)~どうして収益率を足しているのだろう?
・ 連載:リスク資産の複利確率(11)~連続複利とは? 無限に連続する複利の金利を求める
・ 連載:リスク資産の複利確率(12)~連続複利を計算してみた
・ 連載:リスク資産の複利確率(13)~連続複利の世界では掛け算が足し算になる!
・ 連載:リスク資産の複利確率(14)~ 収益率を連続複利だと想定したシミュレーション
・ 連載:リスク資産の複利確率(15)~ もういちどこの連載の目的を確認する
・ 連載:リスク資産の複利確率(16)~新たな考え方でシミュレーションを作ることにした
・ 連載:リスク資産の複利確率(17)~シミュレーションのために連続複利年率を求める
・ 連載:リスク資産の複利確率(18)~連続複利年率のリスクの求め方のはずが、どんでん返しに!
・ 連載:リスク資産の複利確率(19)~シミュレーションのための連続複利年率とリスクの求め方とは?
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・ 連載:リスク資産の複利確率(27)~これが合理的なリスクの取り方ではないのか!
・ 連載:リスク資産の複利確率(28)~最終回「総集編」
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・ H.リスク資産の複利確率
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>金融工学の本に載っているのは、オプションの価格の計算法とか、1年後のリスクの見積もり方など短期の投資に役立つものばかりです。
まさに20年後はどうなっているか?全くわからないということですね^^;
證券会社も潰れてるかもしれないし(例えば、分別管理されてなければ元本1000万までしか返ってこない!)投信自体も生存しているか怪しいものです・・
無リスク資産の場合は政府などが保証しなければならないのでほぼ戻るのですが、リスク資産の場合はインチキな評論家を批判したところで自己責任ですといわれるのがオチです^^
(そもそも評論家も芸能人と一緒でアヤシイ!)
誰かデータの根拠を示した上で、こいつは嘘を述べている!とかブログでミシュランしてくれるといいですね(笑)
長期にわたる連載、ありがとうございました。とても参考になりました。
以下、蛇足なのですが・・・
私も「最適アセットアロケーション」を求めて自作のExcelを突き回しています。しかし、結局のところ、「リターンやリスクをどう見積もるか」によって、まったく異なる結果が出てきてしまいます。
例えば、多くの方が参考にしているGPIFのデータですが、これをそのまま個人投資家のアセットアロケーションの算定に用いるのは、どうも問題がありそうです。
具体例を一つ挙げておきますと、GPIFのデータでは、国内債券のリターンを3.0%と見積もっています。これは、「10年国債応募者利回り」をベースにしているようです。
しかし、個人投資家にとっての「まあまあな国内債券クラスの資産」である「個人向け国債 変動10年」の実質的なリターンは、ほぼ、
(10年国債利回り-0.8%、ただし最低0.05%)×0.8
となり、だいぶ小さな値になってしまいます。(10年国債利回りが、いわゆる長期金利だそうです。また、最後の「×0.8」は、税金で持っていかれる2割の分です……涙)
したがって、仮に個人向国債を国内債券クラスの主力にしたとすると、実質的なリターンは、GPIFのデータに補正を加えて、
(3.0%-0.8%)×0.8=1.76%
とした方がよさそうです。
ものは試しに、財務省のサイトにあった過去約20年分のデータを使って計算してみたら、「仮想個人向け国債 変動10年インデックス(?)」の平均実質リターンは約1.6%、リスク(標準偏差)は1.4%となりました。上の補正データとほぼ整合がとれています。
いずれにしても、GPIFのデータとは、だいぶ違います。当然、「最適アセットアロケーション」も違ってくるはずです。
以上、脱線長文、失礼いたしました。「次回作」、期待しています!
長期の連載お疲れ様です。長期投資においてリスクが結果に非常に大きく影響する数字だということが分かりました。
ところで、今回の計算では始めの元本のみを長期投資していますが、大抵の長期投資家は老後の資金でも無い限り、月々いくらかのお金を積み立てて(例えばETFなどの)商品を購入しているように思えます。そういうケースでは、「毎月の積み立て」という行為はリターンとその確率の結果にどういう効果をもたらすのでしょう?何も計算していないのでただの僕の直感ですが、グラフの左右が最頻値の方向に圧縮されるようなグラフになる気がします。このような解析はそれこそ実用的で、有益だと思いますよ。
実に有意義で面白い連載をありがとうございます。
ただ他の方も書かれていますが、実際に個人が投資できる一番リスクの低い投資対象である個人向け国債において、金利が非常に低いということがあります。また、定期ではインフレによる金利の変動についてゆけないということがあると思います。
今回の理論で、定期預金・個人向け国債ではなく、アメリカ的なインフレ連動債を想定して考えるなら、強力な妥当性があると思うのですが、日本では個人は購入できず、機関投資家向けのものでも物価標準の計算の仕方にいささか疑問があります。
そうして考えると、結局低リスク資産部分は日本の変動金利の債権やMRFに、リスク資産は世界株式インデックスに投資して、その比率を個人に合わせてリバランスしてゆくという常識的な方法に落ち着いてしまうような気がするのですがいかがでしょう。
みなさん、コメントありがとうございました。
積み立ててではどうなるか、というのはたしかに現実的にはそのほうが気になりますね。計算方法は…思いつきません。無理矢理説くしかないですかね。債券やアセットアロケーションについては、私もみなさんに同意します。まあ、あまりリスクはとるべきではない、というのが今回の全体的な教訓ではないかと思います。
今回たまたまこのサイトにたどり着きました。
私自身も、自分で有効フロンティア曲線を書こうとして挫折した経験があり非常に役立ちました。また自分のアセットアロケーションを入力すると、有効フロンティア曲線の左端にあり自分で驚いています。ありがとうございます。 特に長期投資における期待リターンとリスクの組み合わせについては、実際の感覚とあっており非常に参考となりました。今後も楽しみに見せていただきます。
素晴らしい記事ですね!今まで、いくつか読んだ本でもここまで明快に理由が語られた事は無かったと思います。
まだ、数式が多いので一般の人に受け入れられるかどうかはむずかしいですが、わかりやすいグラフや漫画などを交えて(数式等は別項などとして)本にされてはいかがでしょうか?
このブログの記事はとても有用で、ためになります。どうもありがとうございます!
何年も前の記事ですが、こういった観点からの解説はなかなかないので、輝きを失っていませんね。
ただ、いくつか気になった点がありました。
1.最頻値を重要視しすぎ?
最頻値はあくまで「相対的」なものです。確かにもっともありがちな値ではありますが、長期間が経ち分布が広がればその周囲の確率は十分小さくなります。確率密度と確率の違いです。
2.中央値はσに依存していない。
1.の意味で、投資家にとって参考となるのはそれを超える確率が50%となる中央値ですが、これはσすなわちリスクには依存していません。(中央値 = e^μですよね?)
3.リスクはマイナスの面だけではない。
1.のように最頻値(確率密度最大)だけを考えていればそうなりますが、要はバラツキが大きいということなので、当然儲けを大きくする確率(密度)も上昇します。ハイリスク・ハイリターンであって、ハイリスク・ローリターンの記事には疑問を感じました。
このことは、対数正規分布の式のx>μを固定して、シグマを動かしてみればわかります。
参考になる記事をありがとうございます。
確率は昔勉強しただけなのでまちがっていたらごめんなさいです。
確率密度関数を積分したもの(面積)が実際の確率になります。確率密度関数を-∞~∞まで積分すると1になります(全事象が起こる確率は1です)。対数正規分布の場合は負がないので0~∞としても同じでしょう。
よって対数正規分布のの密度関数を1~∞まで積分した値が0.5以上であれば確率1/2以上で儲かる可能性があるといえます。2~∞まで積分した値が2倍以上となる確率だと思います。
良い記事をありがとうございます。
中央値が1より大きければ資産が増える確率が高いと考えて良いため、判断は中央値で行うべきではないでしょうか?
最頻値での判断での意味合いがよくわかりませんでした。
水瀬さんのブログより久々に記事を読み返しました。
本当に良い連載ですね。
お疲れ様です、尊敬します、ありがとう。
時たま、会社で投資の情報交換をするのですが、情報あるいは知識格差がすごくあると感じるのは私だけでしょうか?
是非この連載を本(勿論電子本でもok)という形にして欲しいなと思います。
非常に勉強になる記事を拝見しました。参考にさせていただきます。
1点だけ,他のサイトでも誤った解釈がなされているような気がしますので,コメントさせていただきます。
「標本データの最頻値は、その中で最も頻繁に出現する値」(Wikipediaより引用)とあります。
もう少し具体的な話をすると,例えば,期待リターンを5%,リスクを20%と仮定して,10年間に渡って複利運用する場合のシミュレーションをした場合,記事にもあるように,資産価格の比率が1を下回る年が最も多い(最頻値)という結果になります。
しかし,資産価格の比率が1を上回る年の数をすべて足し合わせると,最頻値を上回ります。
これは,複利運用によって資産が増えていくことを意味します。
複利運用によって資産が増加するかどうかを検証する場合,「通りすがり」さんのコメントにあるように,確率密度関数の定積分値(面積)で評価する必要があります。
期待リターンを5%,リスクを20%と仮定してシミュレーションをした場合も,確率的にイーブンとなる中央値(面積を2等分する資産価格の比率)は年々増加するため,資産が増える可能性は高まることがわかります。
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