2009年11月23日
TOPIXには「TOPIX」と「配当込みTOPIX」の2つがある!
びっくりマークをつけて書くほどのことはないのかもしれませんが、表題通りに東証株価指数「TOPIX」には2種類ある、というお話。
それは、「TOPIX」と「配当込みTOPIX」です。
ふだん僕たちがニュースで見るTOPIXは、「(配当込みじゃない)TOPIX」です。これは株価の変化だけを集めて計算した値ですね。
株式には配当というものがあります。会社の利益の一部を株主に現金でお支払いしますね、というのが配当です。一般論としてね。利益をごまかして配当を出す、なんてことも過去にはありましたしね。
ちなみに僕はスカパーの親会社「スカパーJSATホールディングス」の株式を1株だけ持っているのですが、先日連絡が来まして、来月の12月10日に1株あたり600円の配当を出すそうです。
会社の株価がその会社の価値を表すとしたら、その会社が現金を株主に配当で渡すことによって価値の一部が会社から株主に移動することになるわけで、当然その分会社の価値は下がります。だから配当を出せば株価が下がるんですよね。一般論として。
つまり、会社の業績が好調でも、配当をじゃんじゃん出せば株価は上がらないと。
ということで、配当を含まない「TOPIX」というのは、この配当を除いた株価を集計した値だということです。
で、「配当込みTOPIX」というのは、この配当を考慮して株価指数を計算しているらしいんです。どうやって計算しているのかは調べても原典が見つかりませんでしたが、想像するに、配当金を上乗せした株価を用いて計算しているのではないでしょうか。たぶん。
というわけで、当然のことながら「TOPIX」よりも「配当込みTOPIX」の方が高い値になるような気がするのですが、実際のところどうなんでしょうか? 調べてみたくなりました。
幸いなことに東京証券取引所のホームページには、「インデックスレポート・配当込み株価指数の期間投資収益率」という資料が公開されています。
そして「指数値」というページには、過去のTOPIXの値が公開されています。
この2つを1990年から2008年まで並べて比べてみることにしました(2009年はまだ終わってないので2008年までね)。配当込みTOPIXは指数値はなく収益率のみで、一方、(配当込みじゃない)TOPIXは収益率ではなく指数値しかなかったので、(配当込みじゃない)TOPIXの指数値から年間収益率を計算して比べた結果がこちら。
どうですか奥さん。配当込みTOPIXの方が高い収益率だろうということは予想できましたが、おおむね当たっていそうです。少し詳しく見ましょう。
まず年ごとに見ると、ときどき(配当込みじゃない)TOPIXの方が配当込みTOPIXを上回ることもありますが、おおむね配当込みTOPIXのほうがいい結果になっていそうですね。
そして1990年を1として、2008年までのトータルの収益率を比べてみると、(配当込みじゃない)TOPIXでは1が0.503に、配当込みTOPIXでは1が0.592になっています。どちらも1を下回っているのが悲しいですが、それにしても配当込みTOPIXのほうがダメージが小さくなっていますよね。
さて、何で僕がこんなことを調べ始めたかというと、先日から話題になっているeMAXISを調べていたら、日本株インデックスとしてのTOPIXには、どうやらTOPIXと配当込みTOPIXがある、という話にあたったからです。
フィナンシャルジャーナリスト竹川美奈子さんのブログ「About Money,Today」のエントリ「eMAXISの説明会(その2)」から引用します。
-ベンチマークは配当除く指数を使っているのはなぜか?(ベンチマークは配当込ではなく、配当除く指数を使用。できるだけ完全法で運用するという説明があったのを受けて)
国内の投信の多くが配当込みではなく、配当除きの指数を使用しているが、これは大きく2つの理由があると思う。
1つ目は個人投資家が相手なので。一般に報道されるのはほとんどが配当除きの指数が中心。指数としてのわかりやすさということで、日本では配当除き指数を使ってきたと理解している。
2つ目は投資顧問と投信の運用は違う。租税特別措置法とその周辺の分配に対する規制があるので、いくばくかの資金を一定の条件になると分配せざるを得ない。こういうことを一定程度担保する部分で、当社としては配当除きの指数を使ってきた。
ここでTOPIXと配当込みTOPIXの2つが世の中にあるのか、と知ったわけです。それで調べてみました。eMAXISはここにあるように(配当込みじゃない)TOPIXをベンチマークにしています、これは間違いありません(担当の人に確認しました)。
でも世の中には配当込みTOPIXをベンチマークにした投資信託もありますよね? 実際のところ、それと(配当込みじゃない)TOPIXをベンチマークにした投資信託ではパフォーマンスの違いはどれくらいあるのでしょう?
とよぴ~さんのブログ「カウンターゲーム」の記事「TOPIXとTOPX(配当込み)の違い 続き」で実際に配当込みTOPIXをベンチマークにした投資信託「トヨタTOPIX」で調査されていますが、このグラフをみるかぎりやはり微妙にTOPIXを上回っているようです。
僕も時間ができたら実際の投資信託で調べてみたいと思います。そしてもし違いがあるのならば……信託報酬の差よりも、このベンチマークの違いを気にする方が重要なのかもしれませんしね。
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こんな古い記事の紹介ありがとうございます
※よく見たら記事のタイトルが誤字脱字・・・(汗)
注目はこちらの記事!STAMは配当込み指数を意識しているので無分配が続いています
STAMにまつわるエトセトラ 前編
http://toyop129.blog48.fc2.com/blog-entry-552.html
竹川さんに聞いてもらった上記のeMAXISの質問は自分が提案した内容そのものです
おお、とよぴ~さん、さっそくコメントありがとうございます。そして、STAMの記事、非常に興味深いですね。運用する人はやはりそこまで考えてるんですね。
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