2010年03月14日

「過去のリターンの平均は5%です」←それ何の平均?

本や雑誌などでよく「過去のリターンの平均は5%程度ですから、今後もその程度のリターンが見込めるでしょう」という説明があったりしますよね? で、それを読んで「ふむふむ、なるほどな」って思うじゃないですか。

ところがその「過去のリターンの平均」てのはクセものなんですね。

例えば、5年間で次のように価格が変動した金融商品があったとします。左が変化率、右が基準価格を100としたときの価格です。

0年目 ±0% 100
1年目 +2% 102
2年目 +6% 108.12
3年目 -3% 104.8764
4年目 +1% 105.925164
5年目 -1% 104.86591236

グラフにするとこんな感じ。

Geo01

で、この金融商品の「過去5年間の平均リターン」はいくつでしょうか?

単純に毎年の変化率の平均を求めてみましょう

変化率の相加平均 = (2%+6%-3%+1%-1%)/ 5 = 5% / 5 = 1%

はい。過去5年の変化率を全部足して5年で割ってみると、1%になります。てことで、「過去のリターンの平均は1%です」ってこと?

いやいや、ちょっと待ってくださいよ。毎年1%ずつ増えたとすれば、ざっと計算しても5年で105%、複利で計算すれば105.1%以上になっていなければいけないですよね? ところが実際には5年で100が104.8659くらいにしかなってませんから、この平均はちょっと大きめですよね?

そうじゃなくて、5年で100が104.86591236になったのですから、これの5乗根、つまりルート5を求めなくてはいけないんじゃないですかね?

変化率の相乗平均 = (5√(104.86592136)/100) -1 = 0.95477654%

この答えに1を足した1.0095477654を5乗したもの、つまり5年複利に100を掛けると、ちゃんと104.86591236になります。

ってことは、「過去のリターンの平均は約0.95%」ってことなんですかね?

答えとしてはどちらもあるそうです。この2つ、「相加平均」と「相乗平均」もしくは「算術平均」と「幾何平均」と呼びます。

そして、算術平均の場合、それを複利で計算すると実際のリターンより高く出てしまうのです。ですから「過去のリターンの平均はN%です」と書いてあった場合、それが「相加平均」なのか「相乗平均」なのか、というのはよく気にするべきですね。

そしてそして、この算術平均と幾何平均には僕にとって驚くべき関係があると、ある本に書いてありました。それはまた次回に。

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WATANKO (2010/03/17 0:03:11)

はじめまして。WATANKOといいます。大変有益なる記事をいつも拝見させていただいております。最近ブログを始めまして資産運用にも興味があり、貴殿作成のツール「ポートフォリオグラフメーカー」を使わせていただきました。ありがとうございます。(エントリー内容と関係なくてすみません。)

預金王 (2010/03/17 15:31:14)

>>本や雑誌などでよく「過去のリターンの平均は5%程度ですから、今後もその程度のリターンが見込めるでしょう」という説明


これ^^モロにセールスの匂いがプンプンしますね。過去に5%だったから、今後は-5%になって平均すると手数料だけ抜かれていたり・・
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%9D%87
>一般的な世帯の貯蓄について考察するのが目的ならば中央値や最頻値を用いるべきである。

実際の個人投資家の実績を正直に表すべきでしょうね!

COLE (2010/03/20 21:33:42)

相加平均、相乗平均です。高校の教科書にも載ってたので間違いないです。
「総乗平均という書き方もあるのかな」と思って検索してみると、この記事がトップに来ましたよ。

うさみみ (2010/03/29 22:52:06)

こんばんは。
期待リターン関係の記事を見ていていつもおもうのは、どうして複利でみんな考えるのかということです。

5年目で104.86591236であれば、それだけのことなのに。
この例のように現実は年間でプラスにもマイナスにもなるのに、複利ってプラスと時はいいけど、マイナスの時はとか、いろいろ考えてしまいます。

そもそもの話なのですが、そもそもから抜けられないでいます(笑)

イーノ・ジュンイチ(ファンドの海) (2010/04/04 14:00:08)

COLEさん、ご指摘ありがとうございます。
ものすごい間違いでした。直しました。

うさみみさん、コメントどうもです。
複利で考えるのはいいと思います。ただ、それはあくまで確率でしかないという点がポイントだと僕は思います。



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