2010年04月29日

過去のデータから将来を予測するのに、なぜ幾何平均を基にするのか?

これまで、期待リターンに基づいて計算したいなら、期待リターンは過幾何平均に基づいて出すべき、ということを書いてきました。今回はそれを図示してみました。

たとえば、過去5年の価格がこんな風だった投資信託があるとしますよね。最終的に5年で100から105に増えましたと。で、このデータを基にしてこれからの5年ではどれくらいになってるかな? と考えたとするじゃないですか。

Kika01

そうすると、まあ簡単なのはこうやって線を引くことですよね。

Kika02

この線は、過去5年で増えたのと同じように、次の5年も増えると単純に考えたわけです。でも、これだと5年で100から105に増えた(5%)ので、105から110に増えるだろう(4.7%)と、次の5年では上昇率がさがってるんですよね(ちなみにこの直線は算術平均ともちょっと違うのですが、そこは今回は目をつぶります)。

でも過去5年で100から105に5%増えたのなら、次の5年でも105から5%増えてほしいじゃないですか、ね? だとすると、上昇幅が一定なんじゃなくて、上昇率が一定と考えるべきで、そうするとこんなグラフになるはずなんですね。ま、もちろん「いや、僕は直線的に増えてくれればそれでいい」という人はいいです、そういう予測でね。でも、僕は「過去に5%増えたら、将来も5%増えるだろう」派なわけです。経済予測がどうこうとかは別にして、単に計算上そう考えたい。

Kika03

はい。赤い線がそうです。こんな風に過去5年と同じようにこれから5年も同じような利回りで増えると想定するのであれば、こういう赤い線の形になるはずなんですね。

で、これこそが幾何平均を基にしたグラフになるわけです(分かりやすいようにちょっと複利効果をオーバーに書いたので、実際の計算とかなりずれていますが…)。この赤い線の増え方を実際に求めるなら、過去5年で100から105になったということは、過去5年の利回りであるrはこうなりますよね。

r×r×r×r×r = 105/100
だから
r5= 1.05
だから
r = 5√1.05
つまり
r ≒ 1.0098

毎年、前年より1.0098倍に増えている、つまり0.98%ずつ増えているということなんですね。この0.98%が過去の幾何平均で、将来を予想したいのなら幾何平均で予想するのが適当なんではないかと、そう思うわけです。

ちょっと計算してみましょうか。100から毎年0.98%ずつ増えたとすると、5年後は105ですよね? じゃあ10年後は?

1.009810 × 100 = 110.25

うん、110よりもちょっとだけ増えてますね。でも、これはリスクのある金融商品なので、順調にこんな風にちゃんと複利で増えてくれるとは限らないのです。なのでリスクについても考えてみたいのですが、そこはまだちゃんと説明できるほど考えがまとまってないので、また別の機会に。

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leaf (2010/04/30 18:46:12)

http://myindex.jp/data_i.php?q=MS1105JPY

から
算術平均リターン、幾何平均リターンが求められそうですね。

どうでしょうか?

イーノ・ジュンイチ(ファンドの海) (2010/05/02 11:41:12)

leafさん、こんにちは。
1年ごとの数字じゃないので、推測できるかもしれないですが面倒そうですね…ここは元データをどうやって入手してるんでしょうね。

leaf (2010/05/02 15:19:07)

どうやって入手したか、私にもわかりません。
1年ごとの数字は、下の方の「年次リターン」のタブをクリックすれば見えそうです。

leaf (2010/05/02 16:08:10)

休日なので、推計してみました。


GPIFは、下記PDF内で、ビルディング・ブロック方式を用いて
名目リターンを推計していた。
http://www.gpif.go.jp/kanri/pdf/kanri02iinkai192.pdf

■ ビルディング・ブロック方式 名目リターン
(CPI上昇率 1.0% の場合)

国内債券 (2.8%) = 実質長期金利 1.8% + CPI上昇率 1.0%
国内株式 (5.3%) = 実質リターン 4.3% + CPI上昇率 1.0%
外国債券 (3.4%) = 実質短期金利 1.0% + リスクプレミアム 1.4% + CPI上昇率 1.0%
外国株式 (6.0%) = 実質短期金利 1.0% + リスクプレミアム 4.0% + CPI上昇率 1.0%

ただ、CPI上昇率を 1.0% と定義しており、
現在の日本の状況と乖離している。
よって、CPI上昇率を 0.0% と再定義して、推計してみました。


■ ビルディング・ブロック方式 名目リターン
(CPI上昇率 0%、かつ、H22.4.30 の場合)


国内債券 = 実質長期金利 + CPI上昇率
= (名目長期金利-CPI上昇率) + CPI上昇率
= 10年国債最終利回り
= 1.28

国内株式 = 実質リターン + CPI上昇率
= 4.32 (PDF P6 中央値)

外国債券 = 実質短期金利 + リスクプレミアム + CPI上昇率
= (名目短期金利-CPI上昇率) + リスクプレミアム + CPI上昇率
= コール有担保翌日 + リスクプレミアム
= 0.07 + 1.4 (PDF P7 過去29年平均)
= 1.47

外国株式 = 実質短期金利 + リスクプレミアム + CPI上昇率
= (名目短期金利-CPI上昇率) + リスクプレミアム + CPI上昇率
= コール有担保翌日 + リスクプレミアム
= 0.07 + (6.5 - 2) (PDF P8 過去29年平均)
= 4.57


小数点2桁目を四捨五入して

国内債券 (1.3%)
国内株式 (4.3%)
外国債券 (1.5%)
外国株式 (4.6%)


おおむね

国内株式 = 外国株式 >> 国内債券 = 外国債券


ビルディング・ブロック方式では、外国債券のリターンも悪いですね。

イーノ・ジュンイチ(ファンドの海) (2010/05/03 0:01:46)

leafさん、たいへん参考になります。
ところでこれは算術平均としてみればいいんでしょうか。自分のアセットアロケーションの参考にするには、できればリスクや相関係数も知りたいところですよね。
GPIFは加工後のデータではリスクや相関係数を公表していますけど、ナマデータがないと自分ではそこまでは計算できないですよね…。

leaf (2010/05/03 22:24:02)

>> ところでこれは算術平均としてみればいいんでしょうか。


すいません。私も判断できていません。
イーノさんのブログを見るまでは、
算術平均、幾何平均をほとんど意識していませんでした。

>> 自分のアセットアロケーションの参考にするには、
>> できればリスクや相関係数も知りたいところですよね。


http://www.morningstar.co.jp/fund/analyst/

2010/04/08 各資産クラスごとの相性を探る
の中に、【過去5年】 【過去10年】 【過去20年】
の相関係数が見れます。
GPIFの期間が長すぎる気がするので、私は、【過去20年】の
相関係数を利用しています。

>> GPIFは加工後のデータではリスクや相関係数を公表していますけど、
>> ナマデータがないと自分ではそこまでは計算できないですよね…。


下記のページが参考になると思います。
http://williberich.at.webry.info/201001/article_1.html

外国債券以外は、それなりになんとかなりそうです。

あち、MSCI は下記から入手してください。
http://www.msci.com/equity/index.html



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