2010年07月18日

長期のリターンとリスクをどう計算するか?(1) ~ これまでの計算式のまとめ

10年とか20年という期間で投資信託を保有した場合、リスクやリターンはどう計算すればいいのか? というテーマは、このブログの大きな柱としてえんえんと考え続けているわけですが、まだ謎解きは終わっていません。

いったんは過去の連載「リスク資産の複利確率」で結論めいたものを出すことができたのですが、新たな謎が登場しているのです。それはこの結論と、4月25日の記事「「過去のリターン平均は5%です」←新たな発見へ」で取り上げた、過去の実績の幾何平均と算術平均との関係です。

この2つは整合性がなければいけないはずですが、まだそこまで僕の理解が進んでいません。そこで、この2つの関係を考えていこうと思います。また手探りしながらの新たな連載の始まりです。よろしければお付き合いください。

さて、まずは過去の連載「リスク資産の複利確率」で僕がどういう結論をだしたのかを、今回と次回で振り返ってみましょう。ただし28回分の連載を今回と次回にぎゅっとまとめて説明するので、まあこんなものなのか、と思いつつ読んでいただければ結構です。ここは前振りなので。詳しく理解されたい方は、ぜひ過去の連載の方をご覧ください。

■「リスク資産の複利確率」の計算の仕方

ある投資信託の期待リターン(μ:ミュー)とリスク(σ:シグマ)が分かったとき、N年後の期待リターンとリスクを式で表したい、というのがこの連載の目的でした。

もちろんそうした計算方法は本に載っているのですが、本に載っている計算による結果と、10年後、20年後の結果をシミュレーションしてみた結果が食い違うのです(参考:連載:リスク資産の複利確率(7))。

これは自分で調べるしかない、といろいろ調べた結果、ある式を求めることができました。それがこの連載で求められた式です。

前提として、金融工学の一般的に考えられている「ある金融商品の連続複利率の収益率が正規分布する」とします。

このとき、ある金融商品の(年利ベースの)期待リターンがμ(ミュー)で、リスクがσ(シグマ)であるとき、μとσから、N年後の期待リターンとリスクは、次のように求めることを連載で導き出しました(正確にはμは期待リターン+1とする)。

まず、μとσは年率に基づいたの期待リターンとリスクです。これを以下の式を用いて変換します。これは、正規分布を対数正規分布とみなしたとき、その対数正規分布の平均(μa)と分散(σa)を求める公式です(参考:連載:リスク資産の複利確率(19))。

μa=loge(μ)-(loge((σ/μ)2+1))/2
σa=√(loge((σ/μ)2+1))

このとき、以下の式が成り立ちます。

N年後の価格分布=e正規分布(μa×N, σa×√N)

そこで、

μb=μa×N
σb=σa×√N

とすると、N年後の期待リターンμNとリスクσNは、以下の式で求めることができます(参考:連載:リスク資産の複利確率(22))。

μN = eb + (σb^2)/2)
σN = √(e((2×μb) + σb^2) × eb^2)-1)

これによって、ある金融商品の期待リターン(μ)とリスク(σ)が分かったとき、それを10年、20年、30年と保有したときの期待リターンやリスクが計算できるようになりました。

もちろん現実には、ある金融商品が何年もの間ずっと同じリターンとリスクであり続けることはありません。しかし僕たちは自分の保有するポートフォリオをリバランスし続けることによって、ずっと同じリターンとリスクを維持することができます(リバランスはそのために行うのですからね)。

ですから、リバランスし続けたときに将来の期待リターンやリスクがどうなるのかを計算できることは、長期投資家にとっては大事なことだと思うわけです。

そして計算で求められるのは、期待リターンやリスクだけではないことも分かりました。次回はその説明を。(つづく)

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I.金融工学

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