2010年12月18日

「アセットアロケーション分析」ツールを大幅強化しました。冒険のひとくぎり

今週、アセットアロケーションのシミュレーションができる「アセットアロケーション分析」ツールを大幅に強化したバージョンを公開しました。資産クラスにエマージング株式を加え、さらにこのアセットアロケーションで30年後にいくら増えているか、積み立てたらどうなるか、といったことが分かるようになりました。

2年前に「アセットアローケーション分析」ツールを初めて公開したときには、最大の売りは、いわゆる効率的フロンティア曲線が表示されて、自分のアセットアロケーションが効率的かどうかが一目で分かる、という点にありました。こんなグラフで。

by 投資信託のガイド:アセットアロケーション分析

このツールを公開して3カ月後、2008年の11月に、僕はブログにもらった読者からのコメントをきっかけにして、ある疑問「果たして投資信託のようなリスク資産は、複利で増えていくのだろうか?」の答えを求めてえんえんと金融工学の勉強へとはまっていくことになります。

その最初の記事が「緊急調査:株式投資に複利効果はあるのか?」。ここから始まった一連の記事では結局答えを見つけることができず、あらためて始めた連載による約1年後の記事「連載:リスク資産の複利確率(28)~最終回「総集編]」で、ようやく一定の結論を得ました。

そこからさらに1年後の記事「長期のリターンとリスクをどう計算するか?(9) ~ 総集編」で、さらに深い理解を得られました。

これが今から約2カ月前の10月末の話。分かったのは「リスク資産は複利で増える可能性は低い」ということと、それを数式で表す方法でした。リスク資産への投資結果は対数正規分布であることと、その式が分かりました。

しかし僕は実は9月頃から、さらにこの謎の続きを考えていました。謎の続きとは、これらの知見を、積み立て投資にも応用する、ということでした。

一般投資家のほとんどにとって、最初に大金を投資する、ということはまずありません。毎月の給料から一定金額を積み立てていって、その投資の結果どうなるのか? どのくらいの確率でどれくらい増えるのか? ということを知りたいのですし、それが分からなければ実用的なツールにはなりません。

んで、これもわずか2カ月後の11月には解けました。ただし、まだ積み立て投資の場合にどう解くべきかという解説はブログに書いてません。というのも、早くこれをツールとして実現したくて、ブログに書く時間がもったいなかったからです。説明はすごくややこしいので書くのに時間がかかると思ったので。一応、数式の結果とモンテカルロ法で試した結果を照らし合わせて、たぶん合ってるだろうという検算もしました。

というわけで、これで「積み立て投資をしていったら将来どれくらいの確率でお金が増えるのか?」という僕の疑問は自分なりに解けて、そこから約1カ月をかけてプログラミングし、それをグラフで表示するツールを作ることができました。と同時に、並行して進めていた情報収集から、エマージング株式の項目も追加したと。

by 投資信託のガイド:アセットアロケーション分析

これで約2年にわたる、ほとんど冒険のように疑問を追い続けてきたことも一区切りです。だいたい知りたかったことは解けた気がするし、それをこうして誰にでも使えるツールの形で世に出すことができたから。実際、自分の数式をもとにどんなグラフが描かれるのかは、このツールを作るまで自分にも分かっていませんでしたから、ツールを作っていく途中で描かれるグラフを初めて見たときに「そうか、実際にはこうなるのか」という思いと、「ああ自分はこんな問題を解いたのだな」という感慨が。

もちろん、問題を解いていく過程ででどこかで間違っていて、それがこれから露呈する可能性もあるかもしれませんけれども、ひとまず、ちょっとした充実感を感じています。我ながらよくここまできたなあと。

これでしばらく、僕はブログにややこしい数式の解説を書くことはないんじゃないかなと思います。たぶんね。

そしてこのツールによっていろいろ新しく気がつくことがあると思うので、今度はそういったことを書いていくのがいいんじゃないかなと思っています。もちろん、ツールも改善していきます。まずは年明けにいまの各資産クラスのリターンとリスクと相関係数をもう一度見直すところから。

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spooky (2010/12/20 16:45:10)

こんにちは。

今日初めて拝見しました。恐ろしいくらい専門的なツールですね。ひとつ質問なのですが、アセットアロケーション分析ツールですが、株式や債券の投資額を入力しますが、ここで言う、たとえば日本株の項目はインデックス型投資信託や個別株の総額との解釈でよろしいのでしょうか?

いーノジュンイチ(ファンドの海管理人) (2010/12/22 0:51:04)

spookyさん、コメントありがとうございます。
はい、日本株の場合には理想的には日本株のインデックス投信ですが、個別株もあわせて入れてしまってもいいと思います。そのあたりは自己判断でご利用いただければ。

水瀬 ケンイチ (2011/01/01 23:00:59)

こちらの記事に失礼します。

あけましておめでとうございます。
昨年は大変お世話になりました。(本の掲載もご快諾いただきありがとうございました)
まずはインデックス投資ナイトが成功するよう記念しております。
今年もよろしくお願いいたします。

しゅんすけ (2011/01/03 8:13:02)

あけましておめでとうございます。

金融工学の専門的なことはあまりわかりませんが、
>一定金額を積み立てていって、その投資の結果どうなるのか?

すごく興味があります。
エクセルだとFV関数を用いると思いますけどそれとはまた違うんですよね。

解説楽しみに待っています。

オデュッセウス (2011/01/18 18:01:14)

こんにちは、はじめまして。
大変すばらしいツールですね!

いろいろと資産配分をいじってみたのですが、リスクフリーレートを足元のMMF利回り0.2%とすると、目分量でアバウトにみて分離の定理により導かれる接点ポートフォリオと思われるあたりのアセットアロケーションは日本債券71.43%、先進国債券14.29%、新興国株式14.29%、日本株及び先進国株式ゼロ、全体の期待リターン2.96%、リスク4.98%となりそうです。

接点ポートフォリオにおいて日本株・先進国株ともに排除されるというのはびっくりですが、興味深い結果だと思います。

七味 (2011/03/24 16:46:00)

こんにちは、はじめまして。
私も境界を狙って色々配分をいじってみました。

日本債権40%+先進国債権25%+エマージング株式35%
→期待リターン5.56%,リスク9.71%
日本債権30%+先進国債権20%+エマージング株式50%
→期待リターン7.13%,リスク13.29%

やっぱり日本株・先進国株が0になってしまいました。
元データのエマージング株の評価が良すぎるのでしょうか。



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