2011年08月 6日
「アセットアロケーション分析」ツールをバージョンアップ、「長期投資予想/アセットアロケーション分析」に
3年前の2008年にはじめて公開してからマニアックなツールとして好評をいただいていた「アセットアロケーション分析」ツールを少しバージョンアップしました。今回は長期投資の予想を少し強化したので、ツールの名前も「長期投資予想/アセットアロケーション分析」に変更しました。
2008年8月にこのツールを公開したときの最大の魅力は、アセットアロケーションから即座に投資機会集合と効率フロンティア曲線が表示でき、自分のアセットアロケーションの効率性が確認できる、という点でした。
当時、これほど手軽に効率フロンティア曲線が表示できるツールはほかにありませんでした。
そして昨年、2010年にバージョンアップを行い、新興国の資産も配分できるようになり、30年後の運用結果がどうなるのか、確率で示せるようになりました。長期保有と積み立て投資とどちらの運用結果でも計算可能です。
長期投資の運用結果がどうなるのか、これだけ手軽に試せるツールはたぶんいままでなかったと思います。この計算ができるようになるまで、ずいぶん金融工学の計算を勉強しました。楽しかったけど。
で、今回はこのアセットアロケーション分析と長期投資の運用結果予想を見やすくして、ついでに複利に届く確率や元本割れの確率も計算できるようにバージョンアップしました。そこで名前も少し変えて、「長期投資予想/アセットアロケーション分析」にした、というわけです。
いままで通り、こんなグラフとか。
期待リターン:4.11% リスク:11.92%
元本:10万円 総投資額:0万円 期間:30年
(期待値:33.5 標準偏差:23.1 中央値:27.5 最頻値:18.6)
こんなグラフとかもブログに貼れます。
それから、資産クラスのリターンとリスクも少し変更しましたが、この辺はまだまだ適当な値があると思うので、ぜひご意見をください。
というわけで、ぜひいろいろ試してみていただけると幸いです。これを基に、次はiPad/iPhone版を作りたいなあと思ってます。
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≪前 : (続)リスクはマイナスリターンみたいなもの。リスクが高いだけで結果はどんどん悪くなる
リターン、リスク、相関係数の値に違和感があります。
個人的には、国家公務員共済組合連合会 (KKR) の値の方が良いと思います。
http://www.kkr.or.jp/shikin/report220308-data.pdf
もくしは、
1. 年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF)
2. 国家公務員共済組合連合会 (KKR)
3. イーノさんの推奨値
の3つから選択できる形にするのも良いと思います。
このようにすると、どれを選択するかによって、結果が全く異ってくることが理解できます。
あと、イーノさんのリターン値には、特に違和感があります。
GPIF : 名目リターン (物価上昇率 1.0%)
KKR : 実質リターン (物価上昇率 0.0%)
となっていますが、
イーノさんのリターンでは、
日本債券は、実質リターン (物価上昇率 0.0%)
それ以外は、名目リターン (物価上昇率 1.0%)
になっていませんか?
なぜ、日本債券だけが実質リターンになっているのでしょうか?
意図的なものでしょうか? それともミスですか?
Nancyです。
長期投資予想/アセットアロケーション分析では、期待リターンをたぶん算術平均として定義していますよね。
期待リターンを幾何平均で定義しないと長期の年金財政計算等がしずらいので、両法人の期待リターンはどちらも幾何平均だと思います。
GPIFのPDFファイル内を、「幾何」で検索するといくつかヒットします。例えば、
http://www.gpif.go.jp/operation/state/pdf/h22_q4.pdf
http://www.gpif.go.jp/operation/committee/pdf/h200623_appendix_01.pdf
同様に、KKRのPDFファイルでも「幾何」で検索するといくつかヒットします。例えば、
http://www.kkr.or.jp/shikin/report220308.pdf
http://www.kkr.or.jp/shikin/2010_unyou.pdf
直接的な記述はありませんが、両期待リターンは幾何平均だと思います。
長期予想では幾何平均を用いるのが一般的だと思うので、計算プログラムを変更するのが適切だと思います。
幾何平均 期待リターン を使用したシミュレーションの例
Porco Rosso Financial Weblog: シミュレーション GPIF 国民年金基金 ②
http://ningyocho.blogspot.com/2010/01/gpif.html
ベムのメモ帳Z : 長期投資の複利効果
http://d.hatena.ne.jp/bem21st/20081229/p1
が参考になると思います。
Nancyさん、こんばんは。
詳しく調べてコメントいただいてありがとうございます。細かく答えると長くなりそうなので、手短にご返事を。
リターンとリスクはGPIFをベースにしているのですが、GPIFオリジナルの値は日本債券の期待リターンが3%と、ちょっと現実的には無理目な値だったので、それを1%に変えました。名目リターンをほかと揃えるようにするなら1.5%くらいがよかったかもしれないですね。
KKRの値が公開されているのは知りませんでした、ありがとうございます。参考にします。値が一括で選べるのは便利だと僕も思うのですが、そこまでまだ手が回らなくて。とりあえず個別のパラメータは全部変更可能なので、それをお使いいただくということで。
それから期待リターンはおっしゃるとおり算術平均であることを想定して計算しています。実は、算術平均として計算するか、幾何平均として計算するか悩んだ末に決めたので、この違いを分かっていただけてちょっとうれしいです。
GPIFもKKRもご指摘のように「幾何平均」ぽいのですが、僕もご指摘のPDFなど読んだ末に、それが幾何平均である確証を得ることができませんでした。一方、ある投資助言会社の人と話す機会があって、その人は期待リターンを算術平均として話していました。
世の中に「これは幾何平均で求めた予想値である」みたいな期待リターンとかリスクって、見つからなかったんですよね。もしご存じの方がいたら教えてください。
で、算術平均に決めたのは、いろいろ考えた末に、どっちか分からないのであれば、予想はより慎重な方(算術平均として計算した方が、予想が低めに出る)を選ぶべきと考えたこと、計算が楽だったこと(これは僕の都合)などからです。
これもどちらを選択すべきなのか、状況というか何か強い理由があればぜひ知りたいと思ってます。それより、どちらでも計算できるようにして、切り替えるスイッチを付けるのが理想的ですかねえ……
ああ、結局長くなってしまいました。
イーノさん、丁寧なご回答どうもありがとうございました。
日本債券についてですが、私の記述が不適切でした。
すいません。下部のように記述するべきでした。
GPIFの国内債券のリターンとリスク (3.0 , 5.40)
イーノさん修正のリターンとリスク (1.0 , 5.40)
ここで、私がおかしいと思うのは、リスクが変更されていないことです。
国内債券のリスクの推移は
5.4 (35年間) → 3.6 (20年間) → 2.0 (10年間)
となります。
リターンを変更した理由が、「ちょっと現実的には無理目な値だった」ということなら、
リスク 5.40 も現実的には無理目な値だと思います。
KKR の実質リターンとリスク10年は、 (1.20 , 2.0)
GPIFの実質リターンとリスク35年は、 (1.77 , 5.4) (1.77 は GPIF P5 の実質長期金利の中央値)
リターンを、35年計測値から現実的な値 (もしくは、10年計測値) に変更するなら、リスクも同様に変更する必要があると思います。
リターンとリスクは不可分な関係なので、一方だけを変更するのは違和感があります。
このように記述するべきでした。
Nacnyさん、追加説明ありがとうございます。
違和感の理由、よくわかりました。たしかにリスク据え置きでリターンだけ変えるのは違和感の原因ですね。
最近なるほどと思ったのは、書籍「ほったらかし投資術」で山崎元氏が、期待リターンを過去のデータの平均から求めるのではなく、見通しに沿って決めるべきだという意見を書いていました。将来のリターン/リスク/相関係数を決めるのはなかなか難しいですね。
ところで、以前のコメントでご指摘いただいた、幾何平均として求める方法、やっぱり実装した方がいいと思ってプログラムを始めています。求め方は分かっているので(期待リターンの複利=中央値になる)作るだけなのですが、いつになるやら、という感じです。ありがとうございました。
>iPad/iPhone版を作りたいなあと思ってます。
Android版もお願いします><
はじめまして、アセットアロケーション分析ツールを活用させていただいています。有用なツールを公開していただき、ありがとうございます。
ところで、一つ不思議なことがあります。
たとえば、日本債券に1,000万円、日本株式に500万円、外国株式に500万円投資するとします。この場合、30年後の最頻値は3,410.2万円となるので、30年間で3,410.2万円-(1,000万円+500万円+500万円)=1,410.2万円増える可能性が最も高いということになると思います。
次に、日本株式に500万円、外国株式に500万円投資投資するとします。この場合、30年後の最頻値は1,371.2万円となるので、30年間で1,371.2万円-(500万円+500万円)=371.2万円増える可能性が最も高いということになると思います。
・・・ということは、上記の場合、1,410.2万円-371.2万円=1,039万円を日本債券が稼ぐということになるのでしょうか?1%の期待リターンでは、30年間複利運用しても日本債券はそこまで増えませんが・・・。
shinさん、コメントどうもです。
スルドイところに目を付けられましたね。日本債券によってその差が付いたのか、という問いにYes/Noで答えるとしたらYesです。
最頻値は、リターンが同じでもリスクが低ければ値が改善される、という性格があります。これは2番目のグラフのリスク値だけを変えると分かりますので試してみてください。
日本債券が入ることで、全体のリターンはそれほどあがらなくとも、ポートフォリオの効果でリスクが低くなり、それによって最頻値が改善される、というわけです。
適切なアセットアロケーションの目的は、リターンに対してリスクを低くできる点にあり、まさにその効果を発見されたのだと思います。
Nancyです。
shinさん、イーノさんの最頻値の認識が適切ではない気がします。
最頻値の定義は、「データ群や確率分布で最も頻繁に出現する値」というだけであり、
「最も起こりそうな値 (運用結果) 」とは無関係だと思います。
この長期投資予想において、いちばん起こりそうな運用結果は 中央値 だと思います。
中央値より良い結果の人が 50% 、悪い結果の人が 50% となるからです。
適切な記述例は、
いちばん起こりそうな運用結果は (中央値) 万円です。
ただし、(最頻値) 万円になってしまうことも十分考えられるので、
リスク許容度の低い人は注意してください。
だと思います。
例 : 先進国株式 1000万円、30年運用
いちばん起こりそうな運用結果は 2586.9万円 (中央値) です。
ただし、926.8万円 (最頻値) になってしまうことも十分考えられるので、
リスク許容度の低い人は注意してください。
Nancyさん、こんばんは。
最頻値と中央値ですが、確率分布について誤解されているのではと。
このページの1つめのグラフのY軸の右側に横棒グラフが表示されていると思います。これは結果の確率分布を示していて、山が高いほど、その結果の発生確率が高いことを示しています。
で、最頻値のところが山がいちばん高いのですね(当然なのですが)。
ということで、さまざまな結果のなかから、どれが起こる確率がいちばん高いかというと、中央値よりも最頻値のほうが発生確率が高い、というか発生確率の一番高いところ=最頻値、ということになります。
たぶん「自分は真ん中くらいの成績を取るだろう。だからきっと中央値くらいの結果になる」と想像しがちではありますが、計算上は中央値よりも最頻値のほうが発生確率が高いのです。
イーノさん、ご回答ありがとうございます。
最頻値、中央値の定義は理解しています。
ただ、投資の世界では、
いちばん起こりそうな運用結果は、0.5クォンタイル
とするのが一般的な気がします。
q-クォンタイルとは、確率分布Fを q : (1-q) に分割する値のことです。
数年後の投資結果をxとすると、確率密度関数 f(x) が導ける。
確率Pは、f(x)の積分、つまり、面積である。
詳しくは、下記PDFを参照してください。
http://www1.tcue.ac.jp/home1/ymiyatagbt/sils08_09.pdf
http://laskin.mis.hiroshima-u.ac.jp/Kougi/06a/IS/IS06pr.pdf
ここで、イーノさんは、それぞれの発生確率を「等間隔」なヒストグラムで比較していますが、
ここは本来、等間隔である必要はありません。
一番単純な例を示すと、中央値「以上」儲かった場合を、全て中央値だったと置き換えてみてください。
すると、中央値の発生確率が、最頻値の発生確率を越えます。
つまり、等間隔なヒストグラムである2点の発生確率を比較すると、
その2点以外の発生確率が全て抜け落ちてしまっています。
(除外されてしまう面積が広すぎるということです。)
投資が目標価値を上回るか下回るか、可能性を推計したいなら、幾何平均を用いるべきであると言われています。
そして、幾何平均は、中央値に等しいです。
これは、長期投資でいちばん起こりそうな運用結果は、0.5クォンタイル (中央値) と言うことと同値だと思います。
たぶん、あっていると思うのですが、どうでしょうか?
Nancyさん、こんばんは。
どうもうまくかみ合ってなさそうですね…。
できるだけかみあうように、ご指摘の言葉を使って説明したいと思います。
>ただ、投資の世界では、いちばん起こりそうな運用結果は、0.5クォンタイルとするのが一般的な気がします。
0.5クォンタイル=中央値なので、中央値がいちばん起こりそうだと考えるべき、というご意見と理解しました。そうでしょうか。
なぜ一般に0.5クオンタイルがよく起きると考えられているのでしょうか? これは平均値=中央値=最頻値である正規分布を前提にして考えているためだと思っています。正規分布で考えれば(ここが最頻値なので)これは正しいです。
しかし長期投資では正規分布を前提にすると誤差が大きくなるので、ここでの計算結果は対数正規分布を用いています。すると、平均値と中央値と最頻値が異なります。
すると、平均値、中央値、最頻値、どれがいちばん起こりやすいのか? という判断が必要になるわけです。
でどちらを選ぶべきかは(繰り返しになりますが)計算上、中央値より最頻値のほうが確率が高いのは自明なので。対数正規分布では中央値ではなく最頻値を選ぶべきと思います。
面積のたとえは、申し訳ないのですが主旨がよく分かりませんでした…確率密度関数を積分した面積が確率であることはもちろん分かりますが、積分して面積を比較する理由がよくわからなくて(面積が同じなら、そこが中央値であろうがどこであろうが、同じ確率になりますよね?)。
ここでは「どの点がもっとも起きやすい結果か?」が問いなので、積分前の点同士を比較すべきではないかと。
これを確率密度関数f(x)で表現すると、シンプルにf(x) のもっとも値の大きい点がいちばん確率が高い=起きやすい結果ですよね。
式に表すとf(中央値)やf(最頻値)になりますが、(対数正規分布では)つねにf(中央値)<f(最頻値)であり、f(any) ≦ f(最頻値)は自明なわけで、最頻値がもっとも起きやすい結果、という結論になると思うのです(自明というかf(any) ≦f(x)となるxが最頻値の定義なわけで…) 。
イーノさん、こんばんわ。
確かに、うまくかみ合ってないですね。。。
うーん、言葉の定義が違うだけで、実は同じことを言っているのかな?
1. 対数正規分布を用いるので、必ず 平均値>中央値>最頻値 になるのは理解しています。
2.「すると、平均値、中央値、最頻値、どれがいちばん起こりやすいのか? という判断が必要になるわけです」
ここが間違っていると思います。
なぜ、この3区間だけ抽出して比較するのでしょうか?
この3区間だけ抽出して比較すれば、当然、最頻値の発生確率が一番高いです。
しかし、本当に重要なのは、この3区間に全く該当しない方の事象です。
3. 例を提示した方がわかりやすいと思います。
長期投資予想/アセットアロケーション分析 にて、 先進国株式に 1000万円、30年運用するとします。
すると、以下のような結果が表示されます。
a. いちばん起こりそうな運用結果は 926.8万円 です(最頻値)。年率にして約 -0.3 %です。
b. 元本割れする確率は 17.4% です。
ここで矛盾が発生しています。
元本割れの確率は、17.4% で、元本割れしない確率は、82.6% です。
元本割れしない確率の方が圧倒的に大きい (4.7倍) のに、なぜか、いちばん起こりそうな運用結果は元本割れになっています。
この矛盾が発生した理由は、平均値、中央値、最頻値の3区間だけしか抽出しなかったからです。
3区間だけを抽出した時点で、それ以外のシミュレーション結果 (事象) が消滅してしまいました。
4. 「中央値が一番よく起きる」は間違いです。
確率論的に言えば、平均値、中央値、最頻値に該当する事象は、どれも十分小さいです。あまり発生しないということです。
つまり、平均値、中央値、最頻値に該当しない事象の方が圧倒的に多いということです。
「中央値が一番よく起きる」ではなく、「一番よく起きる事象は中央値と認識される」ということです。理由は下部5。
5. 中央値の厳密な定義は、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E5%80%A4
の「厳密な定義」にあります。
重要なのは、数学的には中央値には T(t) を最適化する性質をもっているということです。
すなわち中央値は母集団の各要素から絶対距離の和が最も小さくするという意味で母集団を代表していると見ることができ、
これが、「一番よく起きる事象は中央値と認識される」の理由です。
中央値の定義は、確率分布とは無関係です。正規分布であっても、対数正規分布であっても同一です。
6.
>> 確率分布の面積は積分で求めますが、積分する前に、積分前の個々の(無限の)点、
>> 例えば、0.1クオンタイル点、0.2クオンタイル点、0.3クオンタイル点など、起こりうるすべての結果と、
>> 最頻値、中央値を全部個別に比較すれば、どの結果よりも最頻値が起こりうる確率が高いことはお分かりいただけると思います。
はい、個別に比較すればそうなりますが、個別に比較する理由がないと思います。
7. もう一つ例です。投資の運用結果の分布Fが {99,98,97,96,95,94,93,92,91,90, 1, 1, 0} であったとします。
「1」の値のみが二つ発生しているので、最頻値は「1」です。
しかし、「いちばん起こりそうな運用結果は?」と質問されれば、中央値を答えるのが正解だと思います。
という感じですが、いかがでしょう。
たぶん、「3」の元本割れの矛盾が一番わかりやすいと思います。
Nancyです。
回答してないものがあったので、追記します。一部重複してます。すいません。
確率論を真面目に学習してないので100%正解という自信はありません。
間違っていたら、本当にすいません。
>> 中央値がいちばん起こりそうだと考えるべき、
>> というご意見と理解しました。そうでしょうか。
はい。
中央値が発生する確率はとても小さいですが、
いちばん起こりそうな運用結果は中央値とするべき
が私の意見です。
>> なぜ一般に中央値がよく起きると考えられているのでしょうか?
中央値が発生する確率はとても小さいです。よって質問内容は、
「なぜ、いちばん起こりそうな運用結果を中央値とするのですか?」
に変更されると思います。
数学的に中央値には、T(t) を最適化する性質をもっているからだと私は理解しています。
中央値は母集団の各要素から絶対距離の和が最も小さくなります。
下記URL参照。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E5%80%A4
そして、これは確率分布の形状に依存しないはずです。
正規分布であっても、対数正規分布であっても成立します。たぶん。
>> 面積のたとえは、申し訳ないのですが主旨がよく分かりませんでした。
>> 面積が同じなら、そこが中央値であろうがどこであろうが、同じ確率になりますよね?
はい、面積が同じなら、同じ確率です。
ここで言いたいのは、中央値の確率が高いということではありません。
むしろ逆に、確率論の世界では、中央値の「現れやすさ」はゼロです。
同様に、平均値の「現れやすさ」も、最頻値の「現れやすさ」もゼロです。点では面積がゼロになるからです。
http://www1.tcue.ac.jp/home1/ymiyatagbt/sils08_09.pdf
http://laskin.mis.hiroshima-u.ac.jp/Kougi/06a/IS/IS06pr.pdf
両PDFには、連続型確率変数がある1つの値をとる確率について記述されています。
「現れやすさ」ゼロの意味は、確率がゼロという意味ではなく、
その値に該当しない事象が無限にあるため、(定数)割る(無限) で0となってしまうようなイメージだと思います。
で、面積の趣旨ですが、等間隔に積分する必要はないということです。
確率P(中央値区間) と 確率P(最頻値区間) で比較すると、当然最頻値の確率が大きいです。
しかし、確率P(平均値以上の区間 + 平均値区間 + 最頻値区間) と比較すれば、こちらが勝るでしょう。
つまり、ヒストグラムのように等間隔で比較する必要はないということが面積の趣旨になります。
最頻値でヒストグラムの山が発生していますが、連続型確率変数の最頻値の「現れやすさ」はゼロになります。
これは、ヒストグラムの山が発生する値より、山の確率分布自体が運用結果の決定要素になるということだと考えます。
外出前に慌てて書いた為、不備があるかもしれません。
帰宅後、間違いがあったら訂正します。
やっぱり一番わかりやすいのは、ひとつ前のコメントに記述した、元本割れの矛盾 だと思います。
間違いがありました。訂正します。
誤 : 確率P(平均値以上の区間 + 平均値区間 + 最頻値区間)
正 : 確率P(平均値以上の区間 + 平均値区間 + 中央値区間)
Nancyさま。コメントどうもです。
説明されたうち、2つのポイントについて指摘させてください。
1つ目。中央値が持つ「最適化する性質」は、「起こりそうな結果」は無関係ではないでしょうか。以下説明です。
>「なぜ、いちばん起こりそうな運用結果を中央値とするのですか?」
に変更されると思います。
>数学的に中央値には、T(t) を最適化する性質をもっているからだと私は理解しています。
「起こりそうな結果」(の分布)は(最適化する性質とは関係なく)確率分布によって示されます(というか確率分布だけがそれを示しています)。確率分布は確率密度関数f(x)によって求められます。そして、確率密度関数f(x)が最大の値xがもっとも起こりやすい値です。そしてxの定義が最頻値である。ゆえに、最頻値が「もっとも起こりそうな値」です。
単純な定義の問題なので、毎回上記の説明を繰り返していますが…これをご指摘の例で説明します。
>投資の運用結果の分布Fが {99,98,97,96,95,94,93,92,91,90, 1, 1, 0} であったとします。「1」の値のみが二つ発生しているので、最頻値は「1」です。
>しかし、「いちばん起こりそうな運用結果は?」と質問されれば、中央値を答えるのが正解だと思います。
本当に中央値が正解かどうか、確かめる方法があります。上記に書かれた13個の数字をそれぞれカードに書いて袋の中に入れます(つまり1だけは2枚入っている)。そこから1枚カードを引いたとき、どのカードを引く可能性が高いか? を調べるのです。これが「ある分布の中で、いちばん起こりそうな運用結果」を調べることに該当します(これはクリッツマン著「証券投資のための数量分析入門」にも使われている例です)。
いちばん起こりそうなのは? 「1」を引くことですよね。1だけが2枚入っているので、ほかのカードより1を引く確率が2倍ですから。もちろん実験すれば確かめられます。130回繰り返せば、ほかの数字は全部10回ずつ引くのに、1だけ20回引くことになるでしょう。
これを確率密度関数f(x)でざっくり例えましょう。f(99)=1、f(98)=1、....f(90)=1、f(1)=2、f(0)=1となります。f(1)=2ですから確率密度関数の値がいちばん大きいf(x)のxは1ですね。最も起こりうるのは、中央値ではなくて最頻値なのです。
もう1つのポイントについて。
>a. いちばん起こりそうな運用結果は 926.8万円 です(最頻値)。年率にして約 -0.3 %です。
>b. 元本割れする確率は 17.4% です。
>
>ここで矛盾が発生しています。
>元本割れの確率は、17.4% で、元本割れしない確率は、82.6% です。元本割れしない確率の方が圧倒的に大きい (4.7倍) のに、なぜか、いちばん起こりそうな運用結果は元本割れになっています。
矛盾してないです。ここが誤解されている元かもしれません。
さっきのカードの例でいえば、「90以上を引く確率は1を引く確率より高い」は真です。「90以上を引く確率の方が、1以下を引く確率より高い」も真です。「どのカードを引く確率が高いか?」で考えれば「1を引く」という結果が真です。そしてこれらはどれも同時に成立するので矛盾しません。
同じように、「元本割れしない確率は82.6%である。と同時に、いちばん起こりそうな運用結果は-0.3%である」というのは矛盾した説明ではありません。
「xが起こる確率よりも、y1からy2までの範囲yのほうが確率が高い」といえる範囲yは無数にあります(中央値に関係なく任意に)。それと「xが起きる確率がもっとも高い」は矛盾しませんから、「もっとも起きやすいのはxではない」とはなりません。そもそも値と範囲を比較しても意味はないと思いますし…
ついでにいえば、「元本割れする確率」というのは、元本を知っている人が計算する数字であって、元本割れするかどうかは実は今回の問いとは関係ありません。
例えば、元本が10万円でも、50万円でも、200万円でも、投資結果がこのように分布すると予想することはできます(単にそう想定すればいいだけです)。すると、同じ分布でも「元本割れする確率」は「元本をいくらに想定したか」によって変わってきますよね?
元本がいくらかに関係なく、「ここに確率密度関数f(x)で示される分布がある」のです。
そして「この分布からいちばん起こりやすい結果は?」が問いです。その答えは、このコメントの最初に書いたように、そして実験すれば分かるようにf(x)が最大値をとるxであって、そのxとは最頻値です。
というのが、ご説明いただいた内容に関して僕が考えたことです。
イーノさん、すいません。
完全に私の間違い、思い込みでした。
はい、中央値の「最適化する性質」と「起こりそうな結果」は無関係でした。
これ、全く証明になっていませんね。
分布F{99,98,97,96,95,94,93,92,91,90, 1, 1, 0}と例、
おっしゃるとおりでした。当然「1」のでる確率が2倍ですね。
>> 同じように、「元本割れしない確率は82.6%である。と同時に、
>> いちばん起こりそうな運用結果は-0.3%である」というのは矛盾した説明ではありません。
よく考えれば、そのとおりでした。
イーノさんが推察されたように、ここが私の誤解、間違いの原因です。
たしかに、値と範囲を比較しても意味ないですね。
丁寧に私の間違いを指摘して頂き、ありがとうございました。
また、お時間、お手数をとらせてしまい、申し訳ありませんでした。
############
>> 世の中に「これは幾何平均で求めた予想値である」みたいな期待リターンとかリスクって、
>> 見つからなかったんですよね。もしご存じの方がいたら教えてください。
少し関係ありそうな資料が見つかりました。
http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/asset-m/paper/lecture_slides_1028.ppt
の27ページです。
38年間で計測
外国株式(算術平均) - 外国債券(算術平均) = 9.4 - 4.3 = 5.1
外国株式(幾何平均) - 外国債券(幾何平均) = 7.8 - 3.8 = 4.0
GPIFとKKRの 外国株式と外国債券の期待リターンの差分は、3 前後です。
ということは、GPIFとKKRの期待リターンは、幾何っぽいのかな?
標準偏差の大きい資産ほど、算術平均が過大評価されると考えていますが、
これ、合っているでしょうか?
Nancyさま、同じ結論になってよかったです。
僕もこの程度の説明ができるまでには間違えたり調べたり、ずいぶん時間がかかりました。それに、ネットを探しても同じような調査や勉強をしている人がいなかったので、同じ理解ができる人が増えてよかったです。
また、紳士的におつきあいいただいてありがとうございます。
ご指摘の資料、見てみます。数字から見るとたしかに幾何っぽいですね。
>標準偏差の大きい資産ほど、算術平均が過大評価されると考えていますが、
これ、合っているでしょうか?
はい、合ってると思います。たしか偏差と過大評価のあいだに式が成り立つはずです(どんな式かすぐに思い出せませんが…)。
幾何についてはNancyさんにコメントをいただいて、あらためてもういちど考えるきっかけになりました。ありがとうございます。
ではまた!
役立つツールを公開して頂き有難うございます。
ただ、アセットクラスに新興国債券・REIT・ハイイールド債などがあるか、一番良いのはアセットクラス名も入力出来るようにしてクラス数を増やして頂けたら最もと助かるのですが
mattyさん、コメントありがとうございます。アセットクラスを増やせるようにしたいとは思うのですが、実はなかなかハードルが高くてできないでいます。
というのも、アセットクラスが増えるたびに計算量が爆発していくので、それを抑える工夫が必要なのと、なによりアセットクラスを増やした場合、ちゃんと計算するためには期待リターンとリスク、相関計数の入力が必要で、しかもほかのアセットクラスと整合性のある値の入力が必要なので利用者側のハードルも大きいので、使いやすくするのは難しいなあと。
なにか、こうすればいいのではないか(特に後者のパラメータについて)というアイデアがあればお待ちしております。
イーノさん、はじめまして。
創星(そうせい)と申します。
「リスク資産の複利確率」の全28回連載、拝読させていただきました。
まだ十分に理解できていない部分もありますが、数学の苦手な私にとって、物語のように読めてとても面白かったです。
投資のリスクについては、正規分布に基づいて、Σまたは2Σの範囲の説明をするのが一般的です。
しかしこれは長期投資についてはあてはまらないということを初めて認識しました。
しかも、確定利回りで複利運用する場合の方がリスク商品で長期投資する場合より良い結果になる場合がある。
投資を長期ですればするほどパフォーマンスが増すというのは必ずしも正しくない。
まさに目からウロコでした。
ありがとうございます。
また、ここに集う方々も理性的、建設的な方々で、コメントのやりとりもとても面白く拝読させていただきました。
さて、そこで一つご質問と、希望があります。
「長期投資予想/アセットアロケーション分析」ツールの中の「4.アセットアロケーション分析」の散布図に関してです。
⚫︎あるポートフォリオを作るとそのポートフォリオの位置が赤く示されます。
その赤い点と同じリスクでリターンの最良の点(上方の効率的フロンティア上の点)の資産配分の内訳(日本債券、日本株式、先進国債券、先進国株式、新興国株式の配分比率または投資金額)を手軽に知る方法はありませんでしょうか。
⚫︎また、その仕組みをこのツールの中に組み込んでいただくことはできないでしょうか。
この散布図で自分のポートフォリオの位置はわかるのと同時に、もっといい位置があるというのも一目瞭然になります。
それを見てしまうと、どうせ投資するなら、最適の条件の投資をしたいと思うのが人情だと思います。
どの程度難しいのか、簡単なのか、全くわかりません。
無理難題を言っているのであればお許しください。
よろしくお願いいたします。
このブログはかなり勉強になりました。ありがとうございます。ところで、作成された、長期投資予想/アセットアロケーション分析なのですが、リスク(シグマ)は完全なガウス分布でない以上、標準偏差を最小二乗法で計算していると思うのですが、分散投資で複数のインデックスのリスクをどのように加算しているのでしょうか?各インデックスの統計分布は同じであると過去のデータからも言えないはずです。そうすると、各アセットの割合毎に分散投資した状態のリスクはどのよう鵜に計算されているかがとても気になっているます。単純に各分散の自乗和のルートな訳はないですし、幾何平均で出しても根拠はないです。数値計算すれば出せると思いますが、このサイトでそのような複雑な計算をしているようには思われませんので、教えて頂ければ助かります。以上、よろしくお願い致します。
こんにちは。いつも「長期投資予想/アセットアロケーション分析 ~ 投資信託のガイド|ファンドの海」 http://guide.fund-no-umi.com/tools/aa.html を参考にさせて頂いております。
ところで上記ツールの相関係数ですが、国内株式と先進国株式との相関係数が 0.27 と低いのは誤りではなく、これで正しいのでしょうか?
突然の質問、失礼いたしましたm(_ _)m
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